前回の記事では、粘性の高い流紋岩質の岩の中の石英に注目して、
石英に凍結しない水を含んでいる強度の低下に関与している可能性があることが分かった。
この現象は石英に限らず、珪酸塩鉱物に言え、
これこそが、ベントナイト資材の白っぽい方に当たるのではないかと。
ちなみに
株式会社誠文堂新光社から出版されている増補版 鉱物・岩石入門の126ページの人間が利用する鉱物の章で、沸石凝灰岩の紹介があり、流紋岩質の凝灰岩が地層の埋没深度が増すにつれて火山ガラスの水和が進み、沸石、粘土鉱物、シリカ鉱物の集合体へと変化していくと記載されていて、
この沸石凝灰岩は土壌・水質改良材として利用されているという記載も合わせてあった。
沸石凝灰岩は山陰地方で多く産出されるらしいので、今までの話と合致する。
では凝灰岩が地層の埋没深度が増すにつれて、粘土鉱物への変化はどのようなメカニズムなのか?を調べてみると、東正治 -粘土基礎講座Ⅰ- 粘土基礎講座Ⅰワ ーキンググループ連載解説 熱水鉱床 と粘土鉱物 - 粘土科学 第43巻 第4号219-227(2004)という教材に行き着いた。
上記の文中に
※図:東正治 -粘土基礎講座Ⅰ- 粘土基礎講座Ⅰワ ーキンググループ連載解説 熱水鉱床 と粘土鉱物 - 粘土科学 第43巻 第4号219-227(2004) 220ページより引用
地下の熱源が浅い所の岩石にどのような影響を与えるのか?のモデルで、通常(左)と亀裂等で熱源により温められた熱水の流れが規制された場合(右)となっている。
SやSZがスメクタイト(沸石やモンモリロナイト)を示している。
右の規制のある方はマグマの貫入等で地層中の熱水が活発に流動するようになったとされる。
どちらの場合も熱水に規制があろうがなかろうが、岩石に何らかの影響を与え、熱源は深ければ深い程熱くなるという規則があるので、潤沢に水のある個所で凝灰岩が堆積することで粘土鉱物が出来るということがわかった。
下記のページの記載によると熱水中の水素イオンが岩石に影響を与え、熱水の温度によってどれくらい変性するか決まるらしい。
※スメクタイトは100〜200℃あたりと比較的低温域
水田敏夫等 母岩の変質と鉱床の生成 - 資源地質,59(2), 165~180, 2009
埋没した凝灰岩が熱水変質作用によって粘土鉱物になったものが、何らかの地質学的なイベントを経て、
地表に隆起することで、人がモンモリロナイトや沸石(ゼオライト)を採掘できるようになる。
これらの採掘したものを栽培する土壌に投入することで、
非アロフェン質の黒ボク土へと変化していくのか。
2020年1月11日追記
文中で紹介したゼオライトは粘土鉱物ではない
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