前回の酵母β-グルカンを理解する為にグリコシド結合を見るで糖同士がどのように繋がっていくのかを見た。
それを踏まえた上で酵母の細胞壁周りについて見ていくことにする。
最初に酵母の細胞壁周辺の構造を見ていくと、
※大矢禎一 門田裕志共著 酵母の細胞壁合成はどのように制御されているか - 化学と生物 Vol.35, No.2, 1997 85ページ 図1 出芽酵母の細胞壁の構造を引用
酵母の細胞壁はβ-グルカン、マンノタンパク質で構成されていて、β-グルカンは鉄筋で、マンノタンパク質がコンクリートと捉えるとわかりやすいらしい。
図を見ると、マンノタンパク質の上側に糖鎖が付いているように見える。
※糖鎖は情報伝達に利用される
植物と比較するとペクチンやリグニンの代わりに糖鎖を含むマンノタンパク質があるというところか。
ツユクサは一次細胞壁でフェニルプロパノイドを持って何をする?
続いて、酵母のβ-グルカンを見ることにする。
Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
酵母のβ-グルカンはザイモサンと呼ばれ、β-1,3-グルカンの側鎖がβ-1,6結合しているらしい。
これは植物やキノコのβ-グルカンとは構造が異なるらしい。
今回の内容から酵母とキノコで細胞壁があったとしても、構造が異なるので、
作物の発根促進剤として、酵母抽出液の代わりにキノコの抽出液を利用しても発根促進に関与しない可能性が出てきた。
今回の話で抜けていることとして、酵母とキノコの真核生物の細胞壁には今回挙げたもの以外でも見聞きする物質がある。
次回はそこに触れてみようかと思う。