学部、院ともに遺伝学には触れていたので、
よくこんな話を耳にした。
メンデルは運が良かった。
メンデルの法則が成り立つ形質なんてなかなかない。
エンドウだから見つけられたのであって、
他の植物だったら見つけられなかったと
まったくその通りだと思う。
いろんな形質のパターンを見てきたけど、
メンデルの法則程シンプルに決まる形質はなかなかなかった。
メンデルの法則通りには現れるんだけど、
生物の形質というものは複雑で、
ある機能が劣性で潰れたとしても、
致命傷にならない様に他の遺伝子が補完するということばかり。
だからある形質が劣性でも、
劣性である様に見えない形質ばかりなんですね。
という前ふりの元、
ナズナの果実のやり型についての話を再開しよう。
ナズナの果実の形はハート型:やり型 15 : 1で現れると考えられている。
これはどうしてかという前に、
二対の対立遺伝子についてみていこう
例えば、
エンドウ豆の形に色の要素を追加してみよう。
形は丸をA、しわをaとして表した。
そこに黄色をB、緑をbという要素を追加する。
Bを優性の形質として、bを劣性の形質とする。
これを踏まえた上で、
丸くて黄色い豆をAABBの様に表し、
しわで緑の豆をaabbと表す。
例えば、
AABBとaabbを交配させると、
片親から形の要素(Aかa)と色の要素(Bかb)を一つずつ受け取るので、
子孫はAaBbですべての豆が丸くて黄色になる。
いろいろと端折るので、
興味がある人は高校の理科の教科書でも引っ張ってもらうとして、
AaBbとAaBbを交配したらどうなるか?を見てみると、
AB | Ab | aB | ab | |
---|---|---|---|---|
AB | AABB | AABb | AaBB | AaBb |
Ab | AABb | AAbb | AaBb | Aabb |
aB | AaBB | AaBb | aaBB | aaBb |
ab | AaBb | Aabb | aaBb | aabb |
になり、
丸黄(AB) : 丸緑(Ab) : しわ黄(aB) : しわ緑(ab) = 9 : 3 : 3 : 1
になる。
合計すると16になる。
そういえば、
ナズナも15:1で合計すると16になる。
ということで、
ナズナの果実の形はどうやら二対の対立遺伝子で説明できそうだ。
-続く-