肥料袋を見ると、やたらとケイ酸を推していることがある。
ケイ酸といえば、イネ科の作物が吸収して強靭な体になったり、くちた後の安定した腐植になったり
と水田をしている人にはいいことだらけ。
と思いきや、実はそれ以上に素晴らしい価値がある可能性がある。
その可能性に触れる前に、ちょっとした小話を
土壌を構成する鉱物の中にミネラルを供給するものがある。
例えば長石という鉱物がそれで、長石が風化するとカリウムが出つつ、カオリナイトという粘土に変わる。
長石からカオリナイトに変わる過程を化学式で書くと、
KAlSi3O8 + 8H2O → Al(OH)3 + 3H4SiO4 + KOH
KAlSi3O8が正長石という鉱物で、風化作用を受けると、Al(OH)3で水酸化アルミニウム、H4SiO4がケイ酸、KOHが水酸化カリウムでこれがカリ肥料として利用される
風化作用で発生した水酸化アルミニウムとケイ酸が反応すると、
2Al(OH)3 + 2H4SiO4 → Al2Si2O5(OH)4 + 5H2O
Al2Si2O5(OH)4のカオリナイトが生成される。
途中で出てきた水酸化アルミニウムだけど、どこかで見たことがあるよね?
そう!
土壌のアルミニウム問題。
強い生理的酸性肥料を多用すると土壌が劣化してアルミニウムが溶脱する。
そのアルミニウムが周辺の植物の根にダメージを与える問題。
スギナにはアルミニウムに耐性があって、アルミニウム障害の畑ではスギナが繁茂している。
(他の植物が成長できなくて、本来競争に弱いスギナが繁茂している)
つまりはスギナが旺盛に育つ劣悪環境に対して、可溶性ケイ酸を投入すれば、有害成分を粘土に変えてしまえる可能性がある。
粘土にすれば、保肥力と保水性が向上するので、栽培のしやすさは大きく改善されるはず。
スギナの繁茂は畑作でよく見られるから、畑作にこそケイ酸を投入したほうが良いかもね。
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