いもち病菌よりもはやくに葉の上にいてほしい菌たちの記事で、いもち病菌が持つイネの防御機構をすり抜ける衣のような糖脂質を、酵母が合成する酵素で分解して、いもち病の感染を抑える可能性があるという内容を記載した。
この内容を見る限りでは、上記のような酵母が葉の上に居てほしいと思うけれども、本当にそれで良いのか?を判断するために、他の研究結果を探してみた。
早速見つかったのが、平成27年度主要成果 葉面常在菌の高濃度酵素培養液は植物を枯死させる - 農業環境技術研究所で、
葉面常在菌の酵母(Pseudozyma antarctica)が合成する酵素をトマトの葉に高濃度散布したら、トマトが枯れたそうだ。
枯れた理由は葉表面にあるクチクラ層の脂質がエステラーゼ活性により切断され、クチクラ層が薄くなり、分解産物の脂肪酸の量が増えたそうだ。
クチクラ層は雨を弾いたり、いもち病といった葉表面から感染する菌に対する防御であったりと、植物が自然環境から身を守る為に大事な要素であり、それがなくなると弱体化する。
では、葉面常在菌の酵母は何の為にクチクラ層を分解しているか?
上記の疑問を解消出来るかもしれない要因があるが、それは次回の記事で触れることにしよう。
-続く-