α-リノレン酸を多く含むエゴマ油までの記事で、必須脂肪酸の観点から食用油について見てきた。


ALAnumbering

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上記の化学式は必須脂肪酸のα-リノレン酸だけれども、特徴的な形として、二重線(二重結合)が三カ所ある。

二重結合があるものを不飽和脂肪酸といい、二重線が多い程、融点が低くなる(常温で液体)。


植物性の食用油が常温で液体なのは、不飽和脂肪酸が豊富に含まれているからだ。


この内容を踏まえた上で、


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マーガリンについて触れていきたい。

マーガリンには動物性と植物性の油脂がある。


今回は動物性の方は触れないとして、植物性のマーガリンの材料には大豆油、なたね油、コーン油、パーム油、ヤシ油、綿実油、ひまわり油などが使用されている。

マーガリン#成分・原料 - Wikipedia


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原料のなたね油(エルカ酸が少ないキャノーラ油)をピックアップして、脂肪酸の構成を見てみると、

オレイン酸 60% 不飽和脂肪酸

リノール酸 30%前後 不飽和脂肪酸

α-リノレン酸 15%前後 不飽和脂肪酸

残りは融点が高い飽和脂肪酸

という構成になっている。

菜種油#脂肪酸組成 - Wikipedia


なたね油はほぼ不飽和脂肪酸で占めている為、常温で液体となる。


このなたね油の不飽和脂肪酸にニッケル触媒を用いて、水素を添加すると融点が高くなり、常温で固形化する。


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これがマーガリンの製造の簡単な仕組みとなるらしい。

硬化油 - Wikipedia




水素添加の実際の反応を見てみると、


Oleic-acid-based-on-xtal-1997-2D-skeletal

Ben Mills - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる


例えば、炭素数18の不飽和脂肪酸のオレイン酸に水素添加を行うと、二重結合が外れ、


Stearic_acid

パブリック・ドメイン, リンク


炭素数18の飽和脂肪酸のステアリン酸が生成され、食用油全体の融点が高くなる(常温で固形)。

食品に含まれるトランス脂肪酸の由来:農林水産省の油脂の水素添加とトランス脂肪酸の生成についてを参考にした




マーガリンといえば、トランス脂肪酸云々の話題があるのだけれども、現時点の説明ではトランス脂肪酸は発生していない。

水素添加について参考にしたページにトランス脂肪酸の記載があるので、それを見れば良いのだけれども、内容を整理するという意味合いでこれからトランス脂肪酸について見ていくことにする。


-続く-