自然発生したとされる三種のカンキツたちの話の続き。
レモンとオレンジはインド付近から西周りの経路で広がったカンキツであるが、広まった歴史というのは異なるみたいだ。
今回はその内容に触れていくことにしよう。
Foto: Johann Werfring, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
レモンを考える上で重要になってくるのがシトロンであるらしく、古代、ローマに持ち帰ったシトロンというのがおいしくなかったそうだ。
それにも関わらず、シトロンが重要視されていたのはいくつか理由があったらしい。
まず一つは果皮に含まれるカンキツ油の香りの良さ。
もう一つがあらゆる病気に効く薬であり解毒剤だと考えられたかららしい。
レモンの歴史 - 原書房の内容を読んでみると、
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食用に向かないシトロンだったが、古代の人々はこれを珍重した。テオフラストスも、その約400年後に現れたローマの博物学者大プリニウスも、シトロンはあらゆる病気に効く薬であり、解毒剤であると考えた。それは蛇の咬み傷や船酔い、赤痢、筋肉痛、痛風、胃痛、そして咳を治すと言われていた。医師たちは、息切れの薬としてシトロンの花を処方したり、砕いたシトロンの種子とワインを混ぜて下剤にしたり、シトロンのさまざまな部位を口臭予防に利用したりした
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※レモンの歴史 - 原書房 19ページより引用
と記載されていた。
この内容を見ると、レモンは食用でなかったが、どの部位も人々の生活にとって重要な役割があると捉えていたことがわかる。
これは漢方でいうところの陳皮(ちんぴ)と同様の効果を狙ったものだろう。
上記の内容だけでも、レモンの基でになったであろうシトロンが人々の生活に浸透した事が十分に納得できる。
他にシトロンはユダヤ人の信仰にも用いられているそうだが、その話は触れないでおく。