松脂とは何か?までの記事でマツと日本人についてを見てきている。
マツが浜辺を生息域として、他の植物が生育出来ない環境で生育していることに強さを見出し、松原の維持管理をすることで松脂といった燃料を得ることが出来る。
更にマツから湧き出た水は美味しいときたら、マツを神格化したくなる気持ちはわかる。
この話で触れておくべき話は他にもある。
それは、マツが潮風に強いという特徴だろう。
この内容に触れるために、他植物が潮風に弱い要因は一体何なのか?に触れておく必要がある。
葉の表面に潮風が当たると、葉の表面に塩化ナトリウム等の塩が付着する。
葉表面の水分の塩濃度が高まり浸透圧が高まる。
ここで、
一般的な植物の吸水の仕組みを挙げると、植物は葉から水を蒸散することで葉内の水分量を減らし浸透圧を高める。
浸透圧が高まると葉よりも下の器官(茎)から水を引っ張ってくる。
茎は水を失い浸透圧が高まるので、根から水を引っ張ってくる。
根はカリウムを多く蓄積し浸透圧を高め、土壌の水分を引っ張ってくる。
この流れを踏まえた上で、葉表面に潮風が当たると葉の水分の蒸散量が増え、葉の下の器官から引っ張り上げる水が多く必要となってくる。
浜辺では植物にとって有効な水分は平均して少ない為、潮風によって蒸散量が増した植物にとって水が不足している状態となる。
ここでマツの葉を改めてみてみると、
細長い葉の形状がうまく潮風を避け、葉の浸透圧を高めないようにしているらしい。
他にマツの葉の形状は海岸特有の風の強さを弱め、根元に砂を落とすらしく、海風による砂の流出を補い、根を張る領域を確保しているそうだ。
Q:松はなぜ海の近くに生えているんですか。 - 国立研究開発法人 森林研究・整備機構