メチルイソチオシアネートは土壌中でどのように変化するか?の続きまでの記事で、メチルイソチオシアネートを土壌に散布した後にどのように変化していくか?を見てきた。


ここで改めて、


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緑肥として緑肥カラシナを育てて鋤き込んだ時の事を考えてみることにしよう。


緑肥カラシナには


Glucosinolate-skeletal

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グリコシノレートという硫黄を含む化合物がある。


これが植物の持つ酵素によって、左側の糖と右側の硫酸根が外れて、イソチオシアネートに変わる。

※中央下のRには、アリル基(-CH2CH=CH2)などが入る。

※アリル基を持つグリコシノレートはシニグリンと呼ぶ

※Rにアリル基が付与されている場合はアリルイソチオシアネートになり、AITCと略す

アリル基 - Wikipedia

シニグリン - Wikipedia

アリルイソチオシアネート - Wikipedia


AITCが水と反応することで、硫化カルボニル(COS)とアリルアミン(H2C=CHCH2-NH2)になり、COSが更に水と反応して、硫化水素(H2S)が生成される。


この硫化水素が土壌に何らかの悪影響を与える可能性がありそうなので、緑肥カラシナを輪作で育てる場合は、他の緑肥と異なる注意点がありそうだ。


緑肥の前後で土壌改良材を使用しておかないと痛い目にあいそうだ。


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