メチルイソチオシアネートは土壌中でどのように変化するか?の記事で、環境に優しいとされる土壌消毒剤のメチルイソチオシアネートの分解について見てきた。


推定の反応経路で、

H3C-N=C=S + H2S

CS2 + H3C-NH2

メチルイソチオシアネート(H3C-N=C=S)と硫化水素(H2S)が反応することによって、二硫化炭素(CS2)が生成されるものがあった。


二硫化炭素は求電子剤(電子を欲しがる)の性質を持つ。


土壌中に二硫化炭素が発生すると、様々な物質を酸化する為、作物にとって還元することによって吸収する肥料成分の効きが悪くなると予想される。




ここでふと思ったことがある。

硫安、硫加、石膏(硫酸石灰)や硫マグ等の硫酸塩の肥料を大量に使用している土壌でメチルイソチオシアネートを使用したら速やかに二硫化炭素が発生するのではないか?


そう思った理由として、BB肥料を使う時は被覆材に気をつけた方が良いの記事で触れた硫酸還元細菌がある。


硫酸塩の肥料を使用すると、土壌に硫酸根が残る。

この硫酸根は植物が少量しか利用せず、残留性が高い。


残留性が高いということは、土壌中に大量に硫酸根があることになり、これを利用する微生物が優位となる。


硫酸還元細菌が優位になっているということは、硫酸根から硫化水素が生成されていることになり、そのような環境にメチルイソチオシアネートを散布したら、土壌が急激に酸化される。

最近の肥料でよく見かける酸化還元電位


硫酸塩の肥料はすぐに効きつつ、使用後の副作用が起こりにくく便利なので、多用している方は多いはず。