最初に合成されるポリフェノールのコーヒー酸の記事で芳香族アミノ酸のフェニルアラニンから最初のポリフェノールであるコーヒー酸(カフェ酸)の合成についてを見た。
このコーヒー酸は肥料や農薬関連で重要なポリフェノールとなるのだけれども、難しい話になるので、一旦保留にしておく。
次に触れる内容として、
産業の視点でも重要な没食子酸(もっしょくしさん or ぼっしょくしさん)について触れる。
なぜ重要かというと、没食子酸が溶けた溶液に鉄粉を加えると、没食子インクという紫褐色や黒褐色のインクになり、
今でも古典インクとして扱われているらしい。
没食子という名前はブナ科の植物の若芽がタマバチ等の寄生バチに寄生された際に出来る瘤を指すらしく、この瘤にはタンニン成分を含むそうだ。
この没食子酸だけれども、コーヒー酸から合成されるわけだけれども、2つの経路がある。
1つ目の経路は
ベンゼン環(六角形の箇所)の右側の炭素鎖が短くなり、
プロトカテク酸になった後、ベンゼン環にヒドロキシ基(-OH)が付与されて没食子酸になる。
2つ目の経路は先にベンゼン環にヒドロキシ基(-OH)が付与された後、炭素鎖が短くなり、没食子酸になる。
西條了康 没食子酸の生合成経路 - 茶業研究報告 118:27〜31(2014)
没食子酸にはヒドロキシ基が3個も付いているので、強い還元性を示すそうだ。