サリチル酸の角質軟化作用について2の記事で、サリチル酸の化学的な特徴の内、極性について触れた。


Salicylic-acid-skeletal_1

File:Aspirin-skeletal.svg originally by Benjah-bmm27 and Booyabazooka, edited by Fvasconcellos - File:Aspirin-skeletal.svg, パブリック・ドメイン, リンクによる


サリチル酸はベンゼン環(六角形の箇所)により非極性になるが、カルボキシ基は水素が離れやすくイオン化するので極性を持つことになるが、全体的に非極性寄りの化合物になり、脂溶性となるそうだ。


もう一つ見るべき構造が、


Phenol2_1


フェノール性ヒドロキシ基を持つということがある。

フェノール性ヒドロキシ基は水素イオンが離れ極性を持つことになる。


サリチル酸には、極性となる要素が2つあることになり、フェノールよりも極性が強いが非極性寄りの化合物として考えて良いはず。

※フェノールの方が非極性の要素が弱い


この極性や非極性が角質軟化作用に対して重要な要素となるようだ。




角質軟化作用についてだけれども、軟化作用に関して重要となるのが、薬剤が細胞に浸透しなければならないということがある。


lipid_bilayer2


細胞膜は外側が親水性(上の図であれば青丸)で、内側が疎水性になっている。

極性を若干持つサリチル酸は細胞膜の表面の親水性の箇所に弾かれることなく近づくことができ、非極性の箇所があるため、内側の疎水性の箇所に弾かれることなく、表皮を浸透していくことができるそうだ。


細胞膜には所々に膜貫通タンパクであったり、脂質があったりする。

これらの化合物に対して、サリチル酸が反応して軟化していくわけだけれども、これらの反応もそれなりに大きな話題になるので、今回はここまでにする。