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家畜排泄物のメタン発酵の際に生成される消化液で沈殿しやすい金属は残るか?の記事と似たような内容になるが、触れておきたい事がある。


それは、亜鉛や銅といった微量要素が家畜糞のメタン発酵の消化液に含まれているか?だ。


土作りにおいて、腐植酸のようなものを施肥したいという事はあるだろうが、それと同じぐらい鉱物由来で得られる要素も一緒に施肥しておきたい。


その中で基肥の施肥設計であまり気にしない要素であったら尚良しなので、微量要素がどれ程含まれているか?が大事になる。


上記の内容が気になったので検索をしてみたら、横濱充宏著 乳牛ふん尿メタン発酵消化液の特性 - 畜産環境技術情報に消化液中の亜鉛や銅の含有量の調査の記載があった。


これらの成分は昨今の土の事情を考えると、0でなければ良い要素で、これらの成分が含まれている事がわかった。




読み進めて気になる点があったのだけれども、有害な重金属の話題もあった。


今回の報告は乳牛の糞尿だけれども、糞尿のみの場合は、有害な重金属は許容範囲内で、副原料として

汚泥等を含めた場合は要検討だった。


この内容は汚泥肥料に含まれる可能性がある有害金属のことと概ね一致するので、汚泥が関与する肥料全般の注意事項としておけば良いだろう。




今まで内容を整理すると、家畜糞のメタン発酵時に生成される消化液は、土作りの要素である腐植酸のようなものが含まれ、リン酸は比較的少ない。


カルシウム(石灰)やマグネシウム(苦土)といった置換性塩基と微量要素は腐植酸とのコロイド化でそこそこ含まれている。


今まで触れていないがカリは豊富に含まれている。


難点としてはアンモニア態窒素が豊富に含まれているので、土壌改良材としては強く効きそうな予感があり、アンモニア態窒素の濃度によりpHが高くなっている可能性がある。




これらの内容を踏まえた上でうっすらと頭に浮かんだ事があるのだけれども、


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米どころの福井県越前市の武生地区の稲作等で見た区画整備により川からの資源を得られ難くなった稲作地域の収穫後のお礼肥として有効なのではないか?と思った。


どうしてお礼肥か?というと、田起こしの際の施肥として散布するとアンモニア態窒素の含有量がどうしても気になり、慣行的に行っている基肥の感覚が狂う恐れがある。


お礼肥、つまりは米の収穫後であれば、その後に冬を挟むので、アンモニア態窒素の影響は小さく出来る。


消化液が藁の腐熟を促進してくれて、良い感じに有機物と微量要素が馴染んでくれるように思う。

土壌生物の栄養不足を意識する