前回の対軟腐病で(ネギの)軟腐病の原因菌を調べた。
結果は下記の通り、細菌名はエルビニア・カロトボーラで、グラム陰性の通性嫌気性の細菌である。
ペクチナーゼという酵素を使って寄生した植物の細胞壁を弱体化させながら侵入する。
病気を調べると菌と細菌という文字をよく見かけるけど、菌と細菌の違いはなんぞや?という疑問は一旦置いといて、細菌は菌よりも細胞がシンプルで、増殖速めという前提で話を進める。
さて、細菌名とちょっとした特徴を得たところで、最初の鍵であるグラム陰性という用語を見てみる。
グラム陰性とは、細菌をグラム染色という手法で、色がつかなかった(陰性)細菌のことを指し、グラム染色で着色される箇所は細菌の細胞壁となる。
具体的な箇所を挙げ始めると、微生物の細胞学に入ってしまうので、グラム染色ではざっくりと微生物の体が染色されるか否か?にしておく。
ここで一つ便利な指標を挙げると、グラム染色で知りたいことは
細菌の細胞壁の厚みで、グラム陽性であれば細胞壁は厚く、グラム陰性であれば細胞壁は薄い。
※実際は細胞壁を構成する成分
またまたざっくりな話だけれども、細胞壁の厚みは乾燥環境での強さや増殖の速さの指標として使える。
グラム陰性を挙げると、細胞壁が薄いため乾燥には弱いのだけれども、細胞壁が薄い分、細胞分裂の際に細胞壁の合成量が少なく、増殖が速い。
※あくまで指標。このようにイメージしておくと対策がとりやすいという意味
ここから判断できることとして、エルビニア・カロトボーラは増殖が非常に速いけれども、乾燥には弱いということだ。
この特徴は非常に厄介で、作物が一度軟腐病菌に感染してしまったら、増殖が速すぎて、殺菌剤が効くよりも増殖が速く、薬効が期待したものにはならないということだ。
グラム陰性の乾燥に弱いという特徴を活かして、
予防的な意味合いを込めて、排水性を高め、通路に極端に水浸しになるような状況は避けよう。
良い土になると、排水性と同時に保水性も向上してしまうが、局所的な水溜まりが出来なくなるだけでそうとうマシだし、この環境になれば、作物自身が強くなる。
追記
土の乾燥という観点から寒起こしは有効ではないか?と