九条ねぎの京都知七さんで連作障害の話をしましたで酸化還元酵素の話が頻繁に出てきたので、必然的に鉄のことを多く触れることになり、質問でも当然鉄のことが挙がる。
鉄は鉱物にたくさん含まれているとはいえ、無茶な連作では鉄欠乏が見られるようになる。
※特に水田で
どんな質問かといえば、普段の施肥設計では十分量の鉄が含まれているのか?というもの。
ここでは量は控えるけど、
基肥としてベントナイト系の鉱物肥料を入れている。
上記のリンクの記事では、鉄を含む黄鉄鉱という鉱物が0.5%程含まれているという。
※採掘した環境によって、鉄の含有量が異なる可能性がある。
この黄鉄鉱というのは、化学組成がFeS2で、原子量からみた理想構成比が大体半々になる。
※鉄が若干少なめ
すべてが理想構成だと仮定した上でベントナイトに含まれる鉄分が全体の0.2%だとすると、ベントナイト系肥料を反当り200kg入れると、0.2%で400gの鉄が含まれていることになる。
ここで含まれる黄鉄鉱は老朽化水田で話題になる硫化鉄(厳密に言うと異なる)だけど、湿気を含んだところで酸化するような環境を設ければ褐鉄鉱になるので問題ない。
栽培と収穫がある以上、収穫時に養分の持ち出しは必ず発生する。
そこで栄養学的にネギ一本においてどれくらいの鉄分が含まれているのか?を調べることにする。
Google検索で「ネギ 鉄分」というキーワードで調べてみたら、
100gあたり1.2mgという表示があった。
野菜の栄養はGoogleの標準仕様の検索なのね。
便利な世の中になったものだ。
とりあえず、関西の青ネギでも同様の結果になると仮定して、ネギ一本はだいたい100〜200gの間に収まるので、一本を150gとして話をすすめると、ネギ一本に含まれる鉄分は1.8mgとなる。
最近肥料ばかりで定植に関わっていないので、一反あたりどれくらい定植しているか?明確な数字は把握していないけれど、反あたり、255穴のセルトレイを20枚近く定植したとして、40000〜50000本だとする。
※株間5cm、4条で反あたり100m畝が6本できるとして、ネギは48000本
50000本のネギを植えたとすると、持ち出される鉄分は50000 * 1.8mgで90000mgとなる。
グラム換算にすると90gとなるわけで、理想構成のベントナイトを100kg(鉄分が200g)分入れても十分まかなえるというわけだ。
ベントナイトの中の鉄は少ないように見えて、実際の栽培で使う量を入れてみると十分量以上となる。
栽培をしていると普通に溶脱もあるので、これくらいの量でいくことになるだろうな。
補足
(超)苦鉄質母岩から形成される環境では、川の水に鉄が多く含まれているので、おそらくベントナイトの量であっても鉄過剰症を注意しなければならないはず。
写真の持ち合わせはないけれど、この手の環境の場合、川の水の色が鉄の赤サビのような色になっている。
※上の画像の箇所に流れる川での話