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プログラミング教材開発
大阪府高槻市原地区で肥料教室を開いています

カテゴリー : 堆肥・肥料/page-11

電子書籍の販売をはじめました
 

マメ科の緑肥と窒素固定

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ソルゴーなどのイネ科緑肥は土壌改良に有効だが、冬場はエンバクを、それ以外の緑肥としてはマメ科植物がある。マメ科緑肥の代表例はヘアリーベッチで、根粒菌との共生により窒素固定を行う。根粒菌は空気中の窒素ガスをアンモニウムイオンに変換し、植物がアミノ酸合成に利用できる形にする。そのため、マメ科緑肥は窒素肥料をあまり必要としない。一方、イネ科緑肥は多くの養分を必要とするため、堆肥などの資材投入が必要となる。つまり、資源が豊富な場所ではイネ科、そうでない場所ではマメ科緑肥が有効と言える。

 

緑肥を使いこなす前に

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緑肥の効果は有機物投入だけでなく、植物の根の構造にも関係する。単子葉植物は多数の太い不定根を持ち、双子葉植物は中心の主根から側根を出す。単子葉のソルゴーは土壌の団粒構造形成に優れているが、双子葉のクローバーやヒマワリも緑肥として利用され、状況によってはソルゴー以上の効果を発揮する。緑肥を使いこなすには、単子葉と双子葉の根の違いを理解することが重要である。

 

緑肥を使いこなす

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根の強い植物は土を柔らかくし、団粒構造を形成する。緑肥はこの性質を利用し、収穫を目的とせず土壌改良を行う。イネ科の植物、特にソルゴーは団粒構造形成に優れる。緑肥は安価な肥料で育て、大きく育ったら土に鋤き込むことで有機物を供給し、土壌構造を改善する。コスモスのような緑肥の効果は団粒構造形成以外にもあると考えられる。緑肥には栄養価の高い牧草が用いられ、土壌への栄養供給にも貢献する。

 

栽培していないところには緑肥を

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コスモスが畑地や水田で咲き乱れていることがあるが、食用ではなく、花農家が育てているわけでもない。実はこれ、緑肥として育てられている。コスモスが一通り咲くと刈り倒され、土に鋤き込まれる。これは、植物由来の有機物を土に混ぜ込むために行われる。育った植物を刈り倒し、トラクターで土に混ぜ込むことで、土壌改良を行う。コスモスだけでなく、エンバクなども緑肥として利用される。なぜコスモスが選ばれたのかという疑問については、別の機会に解説される。

 

有機態リン酸であるフィチン酸のリン酸を切り取りたい

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鶏糞中のフィチン酸はリン酸源だが、強固なキレート作用でミネラル吸収を阻害する。これを解決するのがフィターゼ酵素で、フィチン酸からリン酸を切り離し、ミネラルを解放する。土壌中のアオカビがフィターゼを産生するため、鶏糞施用時にアオカビ増殖資材を併用すれば、フィチン酸問題の軽減が期待できる。アオカビ増殖を促す資材の選定が今後の課題となる。

 

速効性の窒素分として尿素を選択する意義

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硫安は速効性肥料だが、土壌に硫酸根を残し、塩類集積や老朽化の原因となる。一方、尿素も速効性があり、分解後は二酸化炭素となるため土壌残留物がなく、硫安のような問題を引き起こさない。多少肥効が遅くても、速効性が求められる場合は尿素が推奨される。尿素の肥効は微生物の働きに依存するため、土壌に糖分を施すと効果が現れやすくなる。

 

尿素は硫安の様な速さで効くか?

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硫安は水溶性のため即効性があるが、尿素は有機化合物のため土壌中のウレアーゼによる分解が必要で、肥効発現まで時間を要する。硫安は水に溶けると即イオン化するのに対し、尿素は酵素反応を経てアンモニアを生成し、アンモニウムイオンとなる。土壌の状態により分解速度は変わるが、尿素の肥効は硫安より遅い。ただし、尿素のモル質量は硫安の約半分なので、施肥量は半分で済む。

 

鶏糞の中にある有用だけど厄介な有機態リン酸

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鶏糞のリン酸に着目した記事。鶏の餌にはフィターゼが配合されている。これは、餌に含まれるフィチン酸を分解するためだ。フィチン酸は植物の種子に含まれるリンの貯蔵形態だが、強いキレート作用を持つため、リン酸以外のミネラルとも結合し、それらの吸収を阻害する。結果、リン酸自身も吸収されず、栄養が未消化のまま排泄される。この問題に対し、フィターゼがどう作用するかは次回解説される。

 

微生物資材に頼る前に発酵食品を学ぶ

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微生物資材の効果に疑問を持つなら、その微生物が活躍する発酵食品の製造過程を学ぼう。例えば納豆菌なら、納豆製造過程から、稲わらを好み、大豆タンパク質を餌に、25度程度の温度で活動し、水分が必要なことがわかる。畑に稲わらと大豆油粕、納豆を投入すれば納豆菌の恩恵を受けられる可能性がある。たとえ効果がなくても、有機物が土壌を改善する。微生物は適切な環境があれば増殖するので、微生物資材投入よりも環境整備が重要である。

 

発酵鶏糞ができるまで5:四次発酵編

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完熟発酵鶏糞は火薬臭がすると言われるが、これは火薬の成分である硝酸カリウム(硝石)が含まれるため。硝石は酸化剤として働き、飼料由来のカリウムと反応して生成されると考えられる。ただし、鶏糞全体が硝石ではなく、腐植や炭酸塩なども含まれる。発酵は一次から四次まであり、一次で尿酸がアンモニアに分解、二次〜三次で硝化と糞の分解、四次で熟成する。市販の鶏糞肥料は二次発酵終了時点で販売されることが多く、アンモニア濃度が高い場合があるので、購入時には出所や発酵段階を確認することが重要。

 

発酵鶏糞ができるまで2:成分編

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未発酵の鶏糞は、約7割が尿酸、残り3割が未消化の飼料成分(トウモロコシ、魚粉など)と炭酸カルシウム、リン酸カルシウムで構成される。尿酸は化学肥料の尿素と類似しており、未発酵鶏糞は化学肥料のような速効性を持つ。鶏の餌にはトウモロコシや魚粉が含まれ、腐植の成分と類似している。また、骨や卵殻強化のために添加される炭酸カルシウムとリン酸カルシウムは、土壌の緩衝性に寄与する。つまり、未発酵鶏糞は化学肥料的な効き目に加えて土壌改良効果も期待できる。乾燥鶏糞とほぼ同質だが、乾燥により消毒されていると考えられる。

 

発酵鶏糞ができるまで1

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ホームセンターで売られている牛糞堆肥、鶏糞堆肥(火力、乾燥、発酵)の違いは説明不足で分かりにくい。特に鶏糞堆肥は、発酵の有無で見た目が大きく変わる。発酵していないものは白っぽく、発酵したものは黒く土のよう。発酵処理は肥効に大きく影響するが、必ずしも発酵鶏糞が優れているわけではない。成分構成によっては、未発酵鶏糞の方が適している場合もある。それぞれの成分や用途については、次回の記事で解説する。

 

ニーム油粕に含まれるアザジラクチンという物質

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弱った植物を害虫から守るため、ニーム種子油粕の追肥が検討されている。ニームに含まれるアザジラクチンは、虫に対して摂食障害や成長攪乱を引き起こすため、農薬的な効果がある。有機栽培で使用可能な天然由来成分である一方、窒素肥料でもあるため、過剰施肥は害虫を誘引する可能性があり注意が必要。アザジラクチンは光と水で分解するため、効果的な使用方法も検討すべきである。

 

硝化細菌が植物の根の周りで頑張ってる

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土壌消毒で硝化細菌が死滅すると、アンモニウムイオンが硝酸イオンに変換されず土壌中に蓄積する。アンモニウムイオンはマグネシウムなどの陽イオンミネラルの吸収を阻害するため、施肥計画通りの効果が得られない可能性がある。硝酸イオンは陰イオンなので陽イオンミネラルの吸収阻害は起こさない。リン酸イオンなど他の陰イオンの吸収阻害も、リン酸過剰になりやすい土壌環境ではむしろ有益な可能性がある。つまり、適切な土壌微生物は作物の養分吸収バランスを整える役割を担っている。将来的には、無機肥料ではなく有機肥料(アミノ酸等)が主流になることで、このような問題が軽減される可能性がある。

 

肥料名の接頭語で速さを知る

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肥料名の接頭語で効きの速さがわかる。硫酸〇〇、硝酸〇〇、クエン酸〇〇は速効性、炭酸〇〇、リン酸〇〇は遅効性を持つ傾向がある。石灰を例に取ると、炭酸石灰は土壌pH調整に有効だが溶けにくいため速効性はなく、土作りに向いている。一方、硝酸石灰などは速効性が高いが、障害も起こりやすい。つまり、接頭語を見れば、土作りには炭酸塩、追肥には硝酸塩のように使い分けができる。

 

NPKを見るときは、どんな形の窒素かを想像する

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肥料のNPK値を見るだけでは不十分で、窒素の形状まで考慮すべき。硫安は硫酸根を残し、塩類集積や土壌のゾル化につながる。硝安は窒素成分が植物に吸収されやすく土壌残留が少ないが、過剰施肥は塩類集積を招く。重炭酸安は窒素成分以外が水と二酸化炭素に分解されるため、塩類集積の心配がない。つまり、同じ窒素含有量でも、肥料の種類によって土壌への影響が大きく異なるため、形状を意識した施肥計画が必要となる。

 

知らない間に溜まっている石灰

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水溶性肥料の多用は土壌水分のイオン濃度を高め、塩類集積を引き起こす。肥料の陰イオン(硫酸イオンなど)は土壌に残留し、過剰な石灰(カルシウムイオン)と結合して硫酸カルシウムを形成する。硫酸カルシウムは若干の水溶性だが、蓄積すると土壌の浸透圧が上昇し、植物の吸水を阻害する。結果、ひび割れや枯死が発生する。塩類集積は、肥料成分の偏りによるイオン濃度の上昇と、カルシウム過剰による他の要素の欠乏症を同時に引き起こす深刻な農業問題である。

 

速さの代償

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硫安は水溶性が高いため速効性があり、肥料として有効だが、土壌への影響も大きい。土壌酸性度が高い肥料であり、使用すると土壌を酸性化させる。硫安が水に溶けるとアンモニウムイオンと硫酸イオンに分かれ、植物に吸収されずに残った硫酸イオンが硫酸や硫酸カルシウムとなり土壌に影響を与える。土壌の酸性化だけでなく、硫酸カルシウムの残留も問題となる。

 

見るべきものは速さです

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窒素肥料の硫安とアミノ酸肥料を比較。アミノ酸肥料は前回有利とされたが、即効性という点では硫安に劣る。肥料は溶けてイオン化することが前提だが、硫安は水に非常に溶けやすい一方、アミノ酸肥料は溶け残る。そのため、即効性を求めるなら硫安が優れている。逆に長期的な効果を狙うなら硫安は適さない。つまり、状況に応じた使い分けが重要となる。

 

肥料成分としての窒素(N)

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尿素は化学式CO(NH2)2で表される有機化合物で、最も単純なジアミドです。無色無臭の結晶性物質で、水に溶けやすく、吸湿性があります。窒素肥料として広く利用されており、窒素含有率が高いため、効率的な窒素供給源となります。土壌中で加水分解され、アンモニアを経て硝酸態窒素に変換され、植物に吸収されます。工業的にはアンモニアと二酸化炭素から合成され、農業以外にも樹脂や医薬品などの原料としても使用されます。安全な物質ですが、大量摂取や皮膚への長時間の接触は避けるべきです。

 

三番蜜を凝縮した黒糖肥料

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この記事では、サトウキビの搾りかすから作られる黒糖肥料の効果的な使い方を紹介しています。黒糖肥料は植物性有機物でアミノ酸が豊富に含まれており、窒素供給源として作物の養分になるだけでなく、土壌の保肥力や緩衝性を向上させる効果も期待できます。作物に近い場所に施肥すれば肥料として、遠い場所に施肥すれば土壌改良剤として機能します。黒糖肥料は三番蜜を利用しており、カリウムなどのミネラルが豊富です。特にカリウムは初期生育に重要なので、初期に施用すると効果的です。さらに、キノコ栽培の培地にも利用され、木質資材の分解を促進する効果も認められています。つまり、黒糖肥料は作物への栄養供給と土壌改良という両方の役割を果たす優れた肥料と言えるでしょう。

 

黒く、旨味が詰まった黒糖肥料

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ニンジン発芽後の中耕時に、植物性有機肥料として黒糖肥料を使用した。京都農販で紹介されたこの肥料は、サトウキビの搾りかす(廃糖蜜)を粒状にしたもので、糖分、アミノ酸、ミネラルが豊富。N:P:K比は5:0:2で、リン酸が少ないのが利点。廃糖蜜は優れた肥料であり、詳細は次回にまとめる予定。

 

強靭なあれを壊すための連携

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木材を早く分解するには、麹菌などの働きで前処理しておくのが有効です。グルコースオキシダーゼという酵素を持つ麹菌(例:クロコウジカビ)は、グルコースを分解する過程で酸素を過酸化水素に還元します。この過酸化水素も木材分解に寄与します。 米ぬかなどのデンプン質は麹菌の栄養源となるため、木材に米ぬかを混ぜておくことで麹菌の活動を促し、その後にキノコなどの木材腐朽菌が働きやすくなる環境を作ることができるのです。

 

キノコは消毒液がお好き?

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キノコはリグニンを分解する際にリグニンペルオキシダーゼ等の酵素を用いる。この酵素反応は酸化還元反応であり、リグニンペルオキシダーゼは過酸化水素から電子を受け取り、リグニンを還元する。つまり、消毒液の成分である過酸化水素がキノコの酵素活性を促す。しかし、過酸化水素は自然界で常時発生する物質なのかという疑問が生じる。

 

廃菌床という資材のこと

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キノコ栽培後の廃菌床は優れた土壌改良資材となる。菌床栽培では、米糠、麦糠、トウモロコシ糠などを主栄養源に、貝殻やカルシウム塩などを補助栄養源として使用する。これにより、廃菌床には保肥力と緩衝性が備わる。また、キノコ収穫後の培地は窒素飢餓の心配がない分解された有機物であるため、土壌改良に有効。結果として、廃菌床は団粒構造の形成に加え、保肥力と緩衝性も兼ね備えた資材となる。

 

キノコの底力

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リグニンペルオキシダーゼは、白色腐朽菌がリグニンを分解する際に使う主要酵素。ヘムタンパク質で、過酸化水素を酸化剤としてリグニンの芳香族環を酸化的に開裂する。反応機構は、過酸化水素が酵素のヘム鉄に作用し、化合物Iと呼ばれる活性種を生成。これがリグニンから電子を奪い、ラジカルを形成。この不安定なラジカルが様々な反応経路を経て分解される。 リグニンペルオキシダーゼは非特異的な触媒作用を持ち、多様なリグニン構造を分解できる。この酵素によるリグニン分解は、自然界の炭素循環において重要な役割を果たし、バイオマス利用への応用も期待されている。

 

とにかくはやめに腐植を突っ込め

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バーク堆肥を入れた区画と入れない区画で、植物の生育に大きな差が出た。バークを入れた側は草が生い茂り、入れない側はまばらだった。耕起や施肥は同じ条件で行ったため、この差はバーク堆肥の影響と考えられる。このことから、植物が土壌環境を改善する作用を利用するには、まず植物が生えやすい環境を作るのが重要だと推測される。初期段階で腐植を大量投入すれば、植物の生育が促進され、理想的な土壌環境へ早く到達できる。また、土が柔らかくなることで作業効率も向上する。ただし、草抜きは増えるが、柔らかい土壌では容易に除去できる。

 

繋がりを断ち切れ

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バーク投入で土の保水力向上は、バーク自体の保水力に加え、土壌表面のひび割れ減少が要因。ひび割れ減少は、土同士の結合が弱まったためと考えられる。耕起後の土壌粒子は放置すると互いに結合し、塊を形成する。硬い塊ほど、塊の間に大きなひび割れが生じる。腐植を投入すると、土粒子間に腐植が入り込み、土同士の結合を阻害する。結果、乾燥時に形成される塊は小さく、ひび割れも発生しにくい。さらに、腐植混入土壌は空気に触れる表面積が広く、鉱物の酸化を促進。これにより土同士の結合はさらに弱まり、大きな塊の形成が抑制される。結果として団粒構造の形成へと繋がる。

 

土とは死骸の塊である

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土壌の保肥力向上には、有機酸が重要である。米ぬか等の有機物を土壌微生物が分解することで有機酸が生成される。微生物自体もタンパク質で構成され、死骸や酵素も分解されてアミノ酸などの有機酸となる。この分解過程でPEON(リン酸緩衝液抽出有機態窒素)と呼ばれる準安定型のタンパク質断片が生じ、これが団粒構造の構成成分となる。つまり、食品残渣を投入し、微生物の活性を高めることで、土壌中の団粒構造が増加し、保肥力や緩衝性が向上する。

 

劣化で減った保肥力を増やせ

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団粒構造の保肥力は、風化で劣化した鉱物ではなく、腐植の有機酸に由来する。腐植の保肥力を高めるには、有機酸の末端にあるカルボキシル基を増やす必要がある。そのためには、デンプン、タンパク質、脂肪が分解されて生成される有機酸を増やすことが重要となる。米ぬかや魚粕などの食品残渣系資材は、これらの成分を豊富に含むため、土壌に投入することで有機酸の生成を促進し、保肥力を向上させる。つまり、団粒構造の形成には、劣化した鉱物だけでなく、食品残渣などの粗大な有機物も重要な材料となる。

 

土をまじまじと見てみよう。腐植編

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植物の分解物が土壌に混ざることで生成される腐植は、保水性と排水性を併せ持つ。分解された植物繊維が水を吸い込んで保水し、その間にできる空気層が排水性を確保する。ただし、保水性に優れる段階の腐植を入れる必要がある。早期段階の腐植は排水性のみ向上させ、逆に保水能力を低下させる可能性がある。

 

続・マイナスは何からできてる?

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腐植のマイナスの電荷は、有機酸のカルボキシル基から生じます。このマイナス電荷が保肥力を生み、肥料成分の保持につながります。保肥力は鉱物と腐植の両方によって決定されます。栽培時にこれらを適切に混ぜ込むことで、肥料コストを削減できます。さらに、鉱物が劣化しないように、く溶性成分も追加することが重要です。適した資材を選択することで、保肥力を高め、肥料コストを最適化できます。

 

特定のプラスで埋めるな

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土壌のCEC(保肥力)は、マイナスの電気を帯びた箇所があり、プラスのイオンが吸着する。しかし、土壌のpHが酸性に傾くと、水素イオンがCECを埋めてしまい、プラスのイオンの吸着が悪くなる。そのため、栽培後には肥料や根酸によりpHが酸性に傾き、pH調整のために石灰を使用する文化が生まれたと考えられる。

 

く溶性が土のポテンシャルを上げる

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強酸性肥料や有機酸の分泌により、栽培中に土壌pHが低下する可能性がある。特にトマトなどの長期栽培では収穫後期にカルシウム吸収が低下し、しり腐れ病が発生しやすい。これを防ぐため、く溶性石灰を施すことで土壌のpHを維持する。このく溶性の石灰が土壌のpH変化を抑える特性を「緩衝性」と呼ぶ。緩衝性のある土壌では、pHの低下による作物への影響を軽減できる。

 

く溶性のくはクエン酸のく

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く溶性は、クエン酸溶液に溶ける肥料や資材の性質を指し、2%クエン酸溶液で溶解する成分を表す。炭酸石灰は水にほとんど溶けないため、く溶性に対応しない。ただし、水に溶けない特性はさまざまな用途に役立つ。

 

石灰だからといってpHを調整できるわけではない

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舞鶴の土壌は、花崗岩が風化してできた酸性土壌が基本です。特に海岸沿いは砂質土壌でpHが低く、リン酸欠乏が課題となります。内陸は粘土質土壌で保水性が高く、養分保持力もある一方、排水不良になりやすい性質も持ちます。舞鶴市は全体的に酸性土壌が多いため、石灰資材の施用が推奨されています。しかし、「石灰」はカルシウム資材の総称であり、pH調整効果は種類によって大きく異なるため、土壌分析に基づいた適切な資材選択が重要です。

 

二つの石灰、優れているのはどちら?

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消石灰(水酸化カルシウム)と炭酸石灰(炭酸カルシウム)はどちらもpH調整に使えるが、水への溶解度が大きく異なる。水酸化カルシウムは0.17g/100cm³、炭酸カルシウムは0.0015g/100cm³と、水酸化カルシウムの方がはるかに溶けやすい。そのため、水酸化カルシウムの方がpH調整効果が速く現れる。しかし、溶けにくい炭酸カルシウムにも農業で利用できる優れた特徴があり、それは次回解説される。

 

石灰でなくてもpH調整はできる

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石灰はpH調整に用いられるが、炭酸カルシウムだけでなく、炭酸マグネシウムなど他の物質でもpH調整は可能である。炭酸マグネシウムも水素イオンと反応し、二酸化炭素と水を生じ、pHを上昇させる。農業では「石灰=pH調整」という固定観念があるが、必ずしも石灰である必要はなく、他の物質も利用できる。石灰の使用に固執することで、障害が発生するケースもあるため、他の調整方法も検討する価値がある。

 

山の上に炭酸石灰

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炭酸石灰(CaCO₃)はpH調整に使われ、鉱物の方解石と同じ成分である。京都の鞍馬山には石灰岩という炭酸石灰の塊があり、これが風化して川を流れ土壌に供給される。つまり、鉱物は肥料成分だけでなくpH調整機能も持ち、鉱物由来の土壌は重要である。

 

石灰はpHを調整する為に使うもの

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石灰は土壌pH調整に使われ、主な資材は消石灰(水酸化カルシウム)と炭酸石灰(炭酸カルシウム)です。有機石灰は成分的には炭酸石灰です。消石灰は水素イオン(H⁺)と反応し、水になりpHを上げます。炭酸石灰もH⁺と反応し、水と二酸化炭素になりpHを上げます。石灰の使用はpH調整だけでなく、カルシウムの追肥にもなるため注意が必要です。他の石灰資材ではpH調整効果は期待できません。pH調整の必要性、適切なpH、土壌酸性化の原因など、関連する詳細情報は別記事で解説されています。

 

肥料の粒の大きさで肥効を考える

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砂状と粒状の苦土石灰は成分が同じでも価格が異なる場合がある。これは製造コストの違いと考えられ、品質は同等と言える。重要なのは肥効速度の違いだ。砂状は粒状より速く溶け、即効性があるため、土壌pHの迅速な改善に適している。一方、粒状はゆっくり溶けるため、土壌改良などの長期的な肥効が期待できる。つまり、目的によって使い分けるのが良い。粒状は風に飛ばされにくいという利点もある。

 

ホウ素という栽培に潜む罠

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ホウ素欠乏は、教科書上ではまれとされるが、現実では頻繁に発生する。これは、土作りを完璧にしても、ホウ素を多く必要とするアブラナ科野菜が、元来日本のようなホウ素濃度が低い環境では栽培に適していないため。ホウ素欠乏を補うためには、日本にほとんど存在しない硼砂(ホウシャ)や小藤石、高価なダイズ油粕などの輸入資材に頼らざるを得ず、海外資源への依存度が高くなる。そのため、キャベツやカブ栽培における収益性は、海外資源の価格に左右されることを認識しておくことが重要である。

 

良いと言われたことでも度が過ぎるとねぇ

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有機無農薬栽培では、カリウムやホウ素などの鉱物由来の肥料成分の補充が難しい。これらの肥料が適切に施肥されないことで、土壌中のミネラルが欠乏する。土作りで腐植を入れるだけではこの問題を解決できない。むしろ、腐植が過剰になると、作物の生育に見えても、収穫した野菜が内部に空洞や変色を持つ可能性がある。これは、ミネラル分の欠乏が原因となっている。

 

適正のpHを考える

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土壌のpHが適正かどうかを判断するには、植物が効率的に吸収できるpH範囲を考慮する必要がある。最適な吸収ができるのは、窒素、リン、カリウムが最大吸収となるpH 6.5~7.5である。カルシウム、マグネシウム、鉄も考慮すると、pH 6.6~6.8が適している。つまり、肥料のパフォーマンスを最大化するために、土壌のpHを6.6~6.8に調整することが望ましい。このpH範囲から外れると、植物への栄養素供給が阻害される可能性がある。

 

土壌のpHを侮るなかれ

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土壌のpHは、肥料の吸いやすさに大きく影響します。通常、微酸性のpH6.5~7.0では、ほとんどの肥料が効率的に吸収できます。pHが5.0以下になるとカリウムの吸収が低下し、8.5以上になると鉄の吸収が困難になります。この範囲内で最も理想的なpHは7.0で、すべての肥料が十分に吸収できます。ただし、モリブデンはpH6.5でも吸収率が低くなりますが、鉄の吸収が悪化するpH7.0よりは、影響が軽微です。そのため、土壌のpHを微酸性に保つことが、植物の成長にとって重要です。

 

劣化した土は水を貯えず

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粘土鉱物を含む土壌は、粒子間のつながりによって保水性と保肥力を保つ。しかし、土壌が酸性化するとこのつながりが弱まり、保水・保肥力が失われる。例として、元水田の粘土質土壌が、酸の影響で乾燥しやすく保水・保肥力のない状態になる場合がある。これは施肥効率の低下につながるだけでなく、さらに深刻な問題を引き起こす可能性がある。

 

その施肥の影響はいつまで続く?

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畑作では、灌水による川からの養分補給がほとんどないため、鉱物由来のミネラルが減少する可能性がある。硫安などの酸性肥料の使用は、土壌鉱物の構造を壊し、ミネラルの溶出を促進する。畑作では、この酸性肥料の継続的な使用により、土壌の鉱物劣化が進むと考えられる。腐植の投入だけでは、鉱物劣化による根本的な問題を解決できない可能性がある。水田から畑作に転換する際には、酸性肥料の使用や鉱物劣化の影響を考慮することが重要になる。

 

粘土鉱物を土に入れる前に

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粘土鉱物は土壌の保水性と保肥力を高めますが、悪化した土壌に混入すると、圧縮が促進され、根の伸長を阻害します。土壌粒子が強く凝固し、水分や空気が浸透しにくくなり、排水が悪化します。その結果、作物は必要な水分や養分を十分に吸収できず、成長が抑制されます。粘土鉱物がすでに締まった土壌に混入されると、その悪影響はさらに顕著になります。

 

粘土鉱物は買ってでも入れろ

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粘土鉱物モンモリロナイトは土壌に潤沢にあると、水分と肥料分を保持し、作物の成長に役立つ。しかし、過多になると根付きにくくなる。

 

作物は根が命

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京都農販のブログ記事は、マルチ栽培における酸素剤の効果について解説しています。酸素剤(過酸化カルシウム)は水と反応し、水酸化カルシウムと過酸化水素を生成します。過酸化水素は分解して酸素を放出するため、土壌への酸素供給が可能になります。これにより、根の発育が促進され、健全な生育につながります。特に雨が多い時期には、土壌中の酸素が不足しがちになるため、酸素剤の使用は有効な対策となります。酸素供給に加えて、カルシウム補給や土壌pHの調整といった効果も期待できます。マルチ栽培と組み合わせることで、生育環境を改善し、より良い作物の収穫を目指せます。


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