とある地域で白絹病が蔓延しているという連絡があった。

作物名を明記すると地域を特定できてしまうため、

作物名は控えさせていただきます。


白絹病をざっくりと書くと、


tomato_shirakinu

(写真:野菜に病原性を示す Sclerotium 属菌 微生物遺伝資源利用マニュアル (32)(2012)の2ページより引用)


写真のように根の周りに絹っぽい菌糸がまとわりつくように広がり、

根、茎が水浸状に軟化腐敗した後、重症な株は枯死する。


様々な作物に対して影響を与え、

果菜類では深刻な被害となっている。


上の写真下にあるリンクの論文を読むと、

Sclerotium rolfsii(以後S. rolfsii)の寒天培地での培養では、30℃で3日と高温を好むことがわかる。

S. rolfsiiは白絹病を引き起こす菌


菌糸の形成ということで、

S. rolfsiiは糸状菌(カビ)であって、地際で繁殖するので、比較的酸素の多いところを好む傾向にあるはず。


高温で酸素を好み、

カビであるので適度な湿気も必要で、

白絹病はハウス内で広がりやすい傾向がある。


この白絹病に関してだけど、

高知農業ネットの白絹病への対策で下記の記載があった。

土壌中や土壌表面に生ワラなどの未分解有機物があると病原菌が増殖して多発の原因となるので、土壌に生ワラなどを施す場合は植え付け1カ月以上前に施し、土壌とよく混和して腐熟を促す。

ピーマン・ししとう 白絹病 : こうち農業ネット


この地域では植物性多めの自家製堆肥を入れている方が非常に多いという話を聞いた。

栽培で微生物万能説みたいな思考が広まっていて、

堆肥の熟成の際に有用菌を入れて発酵させていれば良いんだ

という思考から生育条件を特に考えず、いい加減な切り返しで管理している方が非常に多い。


微生物全般に言えることだけど、

どんな条件でも旺盛に生育できる菌は存在しないとされ、

条件によっては有用菌が一切生育せず、作物に害を与える菌群が堆肥内で形成される。


宣伝文句みたいになるけれども、

微生物の繁殖周りを勉強せずに感と経験で自家製堆肥を作るのであれば、

堆肥の購入に切り替える。


購入する堆肥の製造元を訪れ、工場見学をさせて頂き、熟成処理が徹底されているか?

※途中で止めて出荷していないか?

熟成終了後に水気をしっかりと飛ばして軽量な堆肥にして販売しているか?

を見極めて購入して使用する。


堆肥代をケチって、白絹病になって全滅より、

堆肥代を経費としてしっかりと払って、秀品率を上げた方が絶対にトータルで収入が増える。


ちなみに購入する堆肥でも、

肥料袋を持った時に重みを感じる時は、熟成を途中で止めている可能性が高いので、

微生物学のセオリーから畑に病気を運ぶキャリアになっている可能性が高い。

※食品残渣が主成分の堆肥であれば、原料が確定していないので、肥料袋の重みで判断は超重要


この地域での白絹病対策は、

堆肥の見直し、ハウス内の通気に関する仕組みの導入という手順だろうか。


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