稲作を理解するために赤トンボを学びたい3までの記事で個体数が減少しているアキアカネの産卵前までの生活史を見た。
前回までの記事で触れていないこととして、アキアカネは羽化後に涼しい山に向かうらしいが、その時の体の色はオレンジ色であるらしい。
産卵期を迎える頃に赤トンボらしい赤色になる。
この内容を見て、ふと思ったことがある。
アキアカネが何らかの要因で赤色になれなかった場合、体の色はオレンジでオレンジのままになるので、このオレンジのトンボが田の上を高速移動していたら、他のトンボに見間違えてしまうのではないか?
たとえば、ウスバキトンボ等。
上記の内容は田にあって、貯水池にはない成分なんてものがあって、それが体の色に影響しているということがあれば考えられなくもない。
というわけでアキアカネの色素についてわかっていることを調べてみたら、産総研:アカトンボがどうして赤くなるのかを解明という研究報告のページにたどり着いた。
※詳細 二橋亮 トンボの体色変化と体色多型 蚕糸・昆虫バイオテック 82(1), 25-29(2013)
以前、ハナカマキリのピンク色の色素は何?の記事で触れたオモクローム系色素のキサントマチンがあり、酸化型がオレンジ、還元型が赤色になる。
酸化型キサントマチンが還元型キサントマチンに還元されるためにはアスコルビン酸のような還元剤(抗酸化物質)によって還元されなければならず、アキアカネのオスには抗酸化物資が多く含まれていたそうだ。
キサントマチンの仕組みから
アキアカネの赤色への変色は婚姻色として成熟したオスのアピールの他に、暑さに弱いアキアカネのオスが日向で縄張りを作る時の紫外線の影響の軽減のために赤くなるのでは?という仮説が立てられた。
後者の仮説が正しいとするならば、温暖化の影響で未成熟の段階で還元剤を蓄積出来ず、産卵期に体内の還元剤が足りなくなったということも考えられる。
実際はどうであるか?はわからないけれども、キサントマチンのことは頭の片隅に入れておこう。
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