ウイスキーで有名なサントリーさんが稲富博士のスコッチノート [Ballantine's] 香るウイスキー バランタインというサイトを運営している。

このサイトではスコッチ・ウイスキー(Wikipediaによると英国スコットランドで生成されたウイスキーのこと)についてのあれこれのことを学ぶことが出来る。

スコッチ・ウイスキー - Wikipedia


このサイトで発酵(醗酵)について興味深い記述を見かけたので紹介する。




ウイスキーに限らず、アルコール飲料は天然に存在する酵母の発酵によってアルコールを生成する。

今では微生物学の発達によって良質の酵母のみを選抜することが出来るが、一昔前までは人の手ではどうにかすることは出来ず難問であった。


そこで人々は発酵に関して下記の方法を取っていたとされる。

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a. 最も原始的な方法は醗酵させる麦汁を入れた容器を蓋をしないでそのまま放置する事である。空中を漂っている酵母が自然に落下して醗酵が始まるがどんな酵母が入るかは運次第だし、酵母より先に有害微生物が入りこめば腐ってしまう危険が大きい。

b. 前回醗酵に使った酵母を集めて使う。もろみの下に沈んだ澱や、上面酵母の場合は泡と一緒に液面に浮かんでくるのでそれを集める。この方法は醸造を連続して行う場合でないと使えない。

c. 醗酵中の"もろみ"にヒースの葉っぱを浸してから自然乾燥したものを保存しておき、麦汁の中に浸す。

d. パン生地を乾燥して保存しておき、醗酵の種として使う。

e. ビール工場から余剰酵母を分けてもらう。

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稲富博士のスコッチノート 第8章 モルトウイスキーの発酵 [Ballantine's]より引用


おそらく一番想像しやすいのが b だろうけれども、d や e の他の発酵食品や引用でうまくいったものを流用するというのは興味深い。

このページを更に読み進めると、


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現在、ウイスキー醗酵の主力として使われている酵母は蒸溜酒用酵母 (Distillers Yeast) であり、(途中省略)蒸溜酒用イーストに加えて、ビール、とくに英国独特のビールであるエール(Ale)工場から出る余剰のビール酵母(Brewers Yeast)も多くの蒸溜所で使われている。

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稲富博士のスコッチノート 第8章 モルトウイスキーの発酵 [Ballantine's]より引用


現在でも余剰のビール酵母を用いていることがあるというのは面白い。


ここからわかることとして、ウイスキーも他のアルコール飲料と似た特徴の酵母を使っているということで、発酵後の産物は原料の方に依存している可能性が高いということだ。

当たり前のように見えるけれども、当たり前を特定していくのも探求では大事な事なので書いた。


ここからうっすら見えてきたこととして、

最近のテーマであったラウリン酸は穀物中にある脂肪を酵母が分解して生成されたものなのだろうということ

ウイスキーとラウリン酸


酵母が長鎖の脂肪酸を中鎖のラウリン酸にすることができるのか?

それとも大麦の胚乳のところにラウリン酸が多く含まれていたのか?


文部科学省のサイトの食品詳細で大麦にはラウリン酸が含まれていないとなっているので、おそらく前者の酵母によって短鎖の脂肪酸が生成されたのだろうなと。

穀類/おおむぎ/大麦めん/乾 - 脂肪酸-可食部100g - 文部科学省