ウィルスの意味論を読み、RNAウィルスから発見された酵素の恩恵を思い出したの記事の続き。

今回は最近注目されている新型コロナウィルス(以後COVID-19と略す)ではなく、コロナウィルスそのものが何なのか?を整理してみる。



株式会社南江堂から出版された生命科学のためのウイルス学 感染と宿主応答のしくみ,医療への応用を参考にすると


Bob Goldstein - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる


コロナウィルスはコロナウィルス科に属するウィルスを指す。

ボルティモア分類というウィルスの分類法によると、コロナウィルス科のウィルスは一本鎖+鎖RNAウィルス [ ssRNA(+) と略す]に分類される。

ウィルスの分類#ボルティモア分類 - Wikipedia


一本鎖や+鎖の意味は生命科学の基礎にあるセントラルドグマを事前に把握していないと理解が難しいので一旦置いといて、それ以外の内容をssRNA(+)という名称からピックアップしてみる。

まずはRNAだけれども、よく聞く名称として生体の設計図のDNAがあるが、生命にとってDNAは重要で壊れて欲しくないので、DNAの生体の情報をそのまま活用するわけではなく、一旦RNAに情報を書き出してから、RNAの情報を元に体を組み立てる。


DNAとRNAのイメージは下記のように捉えている。

DNAとパソコンに例え、RNAをUSBメモリに例えて話を進める。



家にプリンタが無いとする。

パソコンに入っている写真データをコンビニのプリンタで印刷したい。

しかし、パソコンには重要なデータがたくさん入っているのでできれば持ち運びたくない。

こんな時にUSBメモリに写真のデータだけを入れて、コンビニに持っていき写真データの印刷を行う。


USBメモリ内のデータは印刷が終わったらすぐに消すだろうし、データはすぐに壊れてもいい。

パソコンは無くしたり壊したら、おそらく顔が青ざめる程ショックが大きいけれども、USBメモリであれば無くしたり壊れても、まぁ良いかとすぐにショックは小さい。




話は戻って、パソコンに例えたDNAは極力危険に晒したくないので、できれば今ある場所から動かしたくない。

USBメモリに例えたRNAは重要な情報は特にないので、気軽にいろんなところに持ち運べるし、すぐに壊れても良い。


DNAとRNAについてもまさにそうで、RNAはDNAと比較すると非常に壊れやすい。

もう少し生物よりに話をすると、RNAは形を変えやすいという事になるので、変異種が現れやすい事になる。

リボ核酸 - Wikipedia


ちなみにUSBメモリに例えた、DNAの情報の運搬としてのRNAはmRNA(メッセンジャーRNA)と呼ばれ、RNAは他にも色々とある。

伝令RNA - Wikipedia


更にもう一つ視点を追加すると、RNAが大きければ大きいほど、変異の確率が高まる為、大きなRNAウィルス程、変異種が現れやすい事になる。




続いて、ssRNA(+)のssの一本鎖だけれども、先にDNAの二本鎖について触れておく。

DNAという名称を見かけたら、上のイラストのような形を思い浮かべるはず。

この形が二本鎖で二本の鎖が合わさって螺旋状になっている。

二本鎖のメリットは色々あるけれども、今回の話に合わせると、二本鎖はDNAの複製の際に複製を安定化させる役割がある。


DNAの複製は時々ミスするけれども、二本鎖の片方を鋳型にして複製すれば、鋳型と形を合わせてミスの箇所を早期発見して修復できる。


これを踏まえて、ssRNAに話を戻すと、一本鎖であると、RNAの複製にミスがあったとしても、そのまま複製を続ける。

ただでさえ、RNA自体が変異しやすいのに、一本鎖であると更に変異しやすくなる。

一本鎖プラス鎖RNAウイルス - Wikipedia




最後にRNAウィルスとしてのコロナウィルスについて触れておきたい。

コロナウィルスは今まで発見されているRNAウィルスの中で最も大きいらしい。

コロナウィルス科 - Wikipedia


コロナウィルス科のウィルスがssRNA(+)の中で最も変異しやすい可能性が高そうだ。


ちなみに



コロナウィルスのコロナは突起が王冠に見え、王冠をコロナと呼ぶ事からきているらしい。