前回の第二世代遺伝子組み換え作物のゴールデンライスの記事で、コメの胚乳の箇所にベータカロテンを蓄積するゴールデンライスについて見てみた。

せっかくの機会なので、もうちょい深くゴールデンライスに触れてみようと検索をしてみることにして、小松晃 形質転換技術による品質・成分育種の可能性 - 農業および園芸 第81巻 第1号 2006にたどり着いた。


International Rice Research Institute (IRRI) - https://www.flickr.com/photos/ricephotos/5516789000/in/set-72157626241604366, CC 表示 2.0, リンクによる


ゴールデンライスは1と2があるらしいが、ベータカロテンの合成経路は同じなので、改良版の2の方を見てみる。


以前、カロテノイド生合成阻害の除草剤を見るの記事で、ベータカロテンの合成経路に触れたことがある。

トウモロコシ等を例にしてベータカロテンはピルビン酸 → GGPP →フィトエン → リコペン → ベータカロテンの順に合成される。


コメの胚乳では、GGPPからフィトエンになる箇所と、フィトエンからリコペンになる箇所の2つの遺伝子がなく、リコペンからベータカロテンを合成する酵素はあったらしく、フィトエンの合成とリコペンの合成の2つの遺伝子を組み込むことで、ゴールデンライスになったそうだ。

2つの遺伝子の導入のみで目標を達成できたのはすごいこととされている。


上記の内容を見て、コメとトウモロコシの共通の祖先では実でベータカロテンを蓄積したが、コメとして洗練される間にベータカロテンが不要になってきたので、リコペンまでの合成を捨てたのではと想像してしまう。

似てような話にトマトとケイ素の記事でみたトマトのケイ素輸送体の話題がある。


それ故、ゴールデンライスは2つの遺伝子の導入のみで目標を達成できたのだろう。

ゴールデンライスではフィトエンに関与する遺伝子をトウモロコシから、リコペンの合成に関与する遺伝子を何らかのバクテリアから得ている。

何のバクテリアなのかは調べてはいないが、以前、乳酸菌が合成するカロテノイドの記事で、乳酸菌の一種がカロテノイドを合成すると記載したので、おそらくこの辺りのバクテリアではないかと。


余談だけれども、遺伝子組み換え作物を市場に出す時は慎重であるので、ゴールデンライスは中々市場に登場しなかった。

現在はどうなっているのか?と調べてみたら、GM米 商業栽培認可 フィリピンで世界初 / 日本農業新聞の記事で、フィリピンで商業栽培で認可を得て隔離栽培で栽培を開始しているそうだ。