家畜糞の熟成について考えるの続きまでの記事で鉄剤と活性酸素について触れてきた。
整理する意味合いで活性酸素のことを調べていたのだけれども、そういえば活性酸素が細胞を傷つけるという表現をよく聞くが、具体的にどのような反応が生じているのか?を知らない事に気がついた。
脂肪酸の酸化(過酸化脂質)はよく聞くが、これだけで細胞が傷つくのだろうか?
いや、過酸化脂質に関する反応も理解していない。
これでは活性酸素の発生と堆肥の熟成についての理解が深まるのだろうか?
ということで、有機物の酸化について見ていくことにする。
最初に気になったのがタンパクの酸化なので検索をしてみたら、戸田年総著 タンパク質の酸化修飾と老化 - 基礎老化研究 35(3);17-22,2011にたどり着いた。
前提知識として、タンパクを構成するアミノ酸が20種類あり、それらのアミノ酸がペプチド結合によって直鎖状になったものをタンパクだとする。
タンパクで重要な規則として、アミノ酸の並び順には意味があり、一つでも置き換わると機能が変わってしまうというがある。
それを踏まえた上で、タンパクの酸化について見ていく。
タンパクを構成するアミノ酸のうち、酸化を受けやすいアミノ酸があるそうだ。
例えば、
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アルギニンというアミノ酸があり酸化すると、γ-グルタミル-セミアルデヒドに変わる。
※化学組成の上の H2NC(=NH)NHの箇所がCHOに置き換わる(カルボニル化)。
アルギニンは最も塩基性が高いアミノ酸であったが、酸化することによって塩基性が損なわれる。
この塩基性がタンパクの構成に重要であるはずで、それがなくなることによって本来あったタンパクの機能が損なわれる可能性がある。
タンパクは体を構成するものの他に酵素といった生理反応に関与するものもあり、酸化によってその機能が損なわれる事は有り得る。
酸化されやすいアミノ酸はアルギニンの他にメチオニンやリシン等があるそうだ。