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家畜糞の熟成について考えるの記事で家畜糞の熟成とは何か?について考え、

・水分量が減る(べちゃっとした状態から上の写真のコロコロとした状態になる)

・スカトール臭?やアンモニア臭が減り、火薬っぽい臭いに変化した

を挙げ、後者の家畜糞の臭いの変化について触れた。


今回は前者のコロコロとした状態になる方について触れる。

べちゃっとした状態からコロコロとした状態になるためには水分を飛ばす事はもちろんの事、家畜糞に含まれる成分も変わる必要がある。


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上の写真は鶏糞で、鶏糞を見ると熟成というものがわかりやすい。

写真左の白っぽい箇所が排出直後の生糞で、右が熟成を終えた鶏糞になっている。


べちゃっとしたものは尿の方で、尿(牛糞であれば尿素で、鶏糞であれば尿酸)の量が減れば熟成に向かう。

この話題はアンモニア臭の方の話題なので硝化作用が働けば解決に向かう。


もう一つは家畜糞と一緒に混ぜた植物性の有機物(稲わら等)の反応だろう。

これらの成分の水分が飛びつつ、分解が進めば団粒形成の要素になるわけでコロコロ状態に近くなる。




ここからが本題だ。

今挙がっている主題は鉄触媒処理によって熟成は促進することができるのか?だった。


自然現象の中での鉄触媒という言葉を聞いて真っ先に頭に浮かぶのが、酸素発生型光合成の誕生の前にの記事で触れた内容の太古の海で頻繁に発生したと考えられる活性酸素の事だろうか。

まだ酸素排出型の光合成を行える生物が誕生していない時代に、海水には大量に鉄(Ⅱ)が含まれていたとされる。


この鉄(Ⅱ)は周辺の水と反応して、水を活性酸素の一種である過酸化水素に変える。


この反応を家畜糞の熟成に置き換えると、


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排泄したてで水分量が多い状態の家畜糞に鉄(Ⅱ)を加えることで、生糞の中では活性酸素が発生しやすい状態になるはず。

活性酸素は周辺の有機物を急速に酸化させる働きを持ち、家畜糞の熟成自体が酸化であるため、鉄触媒の投入により熟成が促進されると考えられる。


活性酸素は様々な有機物(タンパクや脂質等)に影響を与えるが、ここで真っ先に思い浮かぶのが抗酸化作用を持つポリフェノールだろう。

活性酸素とポリフェノールに関してはアルミニウムの結合力とポリフェノールの吸着性で触れたが、土壌中の菌の活動によって生成された活性酸素が土壌中のポリフェノールと反応して、ベンゼンを含む大きな化合物へと変わっていくという内容があった。


これはポリフェノールが酸化によるカップリングにより重合され、タンニンへと変化していくことを指し、タンニンは様々な有機物と反応して腐植酸へと変わっていく。

この反応は鉄(Ⅱ)のもつ触媒作用によって促進される可能性が高く、家畜糞の熟成は鉄(Ⅱ)の投入によって促進される可能性も高いということになる。


家畜糞の熟成では多くの微生物の働きが関与して、多くの微生物の死骸も蓄積していく。

熟成中に生成されたタンニンは微生物由来のタンパクを取り込み、地力窒素へと変わっていく。

タンニンのタンパク質凝集モデルは地力窒素の理解に繋がるか?


鉄(Ⅱ)は大気中の酸素と反応し鉄(Ⅲ)になりやすいため、資材としての利用は難しい。

この点に関しては改めて関連した研究報告のリンクを掲載しておこう。

茶殻・コーヒー滓が触媒に?繰り返し使用が可能なフェントン反応 - 化学と生物 Vol. 54, No. 5, 2016