トマト栽培で老化苗を定植したら微量要素の課題が付き纏うの記事で、トマト栽培で木を暴れさせずに収穫する工夫の一つに老化苗を定植するという内容を記載した。
老化苗の定植が背景にあるのか?
施設栽培に限らず、トマトの栽培では厄介な内容が付き纏う。
その内容とは、
トマト栽培の土耕において、土作りをほぼせずに株に負荷をかける栽培をするということ。
確かに土の物理性を改善しなければ、発根量は減るわけで、発根量が減れば木が暴れるリスクは軽減される。
ただ、物理性を改善しないことによって、土壌のECが高くなり塩類集積が発生したり、病原性の細菌(主に青枯病菌)にとって快適な環境を維持に繋がっている。
発根量、特に根の先端の表面積が少ない状態で、病原性の細菌にとって快適な環境であれば、当然のことながら作物にはこれらの細菌の耐性を得る機会がないので栽培後期に立ち枯れによる全滅は回避できないわけで、土壌消毒に頼りたくなる。
強烈な土壌消毒は土壌粒子を酸化させてしまうため、更に土の状況は悪化しつつ、実は強烈な土壌消毒は潜伏性の病原性の細菌にはほぼ効果を発揮しない。
話は土壌消毒にそれてしまったので、土壌の物理性に戻すと、
物理性を改善しないということは、土壌を構成する鉱物の劣化が激しく、鉱物から得られる金属系の養分の吸収は期待できなくなる。
合わせて、水を切るといったことも頻繁にするので、川からの養分の流入の機会も必然的に少なくなる。
これらの要因から考えられるのは、発根促進系の要素が少ないので、株の根の張りはイマイチになり、基肥追肥のどちらでも窒素系の吸収ばかりで微量要素の吸収はほとんどされない。
追肥で養分の構成に最新の注意を払っても、木が暴れる事に対しての期待する効果は得られない。
ここから負の循環に入り、更に木をいじめるような土壌環境にして発根を抑制する。
発根が抑制されたから木が暴れるようになって、更に木をいじめるような環境を目指すようになる。
潜伏性の病原性の細菌にとっての環境は日に日に強化され、土壌消毒は更に効かなくなっていく。
当然ながら、木が高温等の環境ストレスに対しても弱くなっている。
この負のスパイラルこそが、トマトの栽培で土耕を止めて水耕、更には環境制御の施設栽培への発展の要因なのだろうなと。
昨今言われるSDGsの観点から、土壌の物理性を向上させつつ、良いトマトを収穫できるような技術体系の確立が急務なのだろうと。
一度施設栽培にしてしまうと、土耕に戻すことが困難になり、土耕の生産性の向上の青天井の恩恵も受けられなくなる。
トマト栽培においても亜鉛をどれだけ意識するか?が鍵になりそうだ。
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