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ペニシリウム・ロックフォルティとラウリン酸と菌根菌の記事で、各チーズ内の脂肪酸(ラウリン酸)の含有量に触れ、ブルーチーズが最も多いことを紹介した。


ブルーチーズはアオカビ胞子の添加→熟成によって出来たチーズで、

アオカビことペニシリウム・ロックフォルティは土壌中に普遍的にいるカビであるようだ。

Penicillium roqueforti - Wikipedia


AM菌といえば、以前に椰子の実の脂肪酸と菌根菌の記事で脂肪酸のラウリン酸によって成長が活発になったという研究報告を紹介し、

AM菌が感染した植物は植食性昆虫による被害が軽減するということも合わせて紹介した。

殺菌剤を使用すると虫による食害被害が増加する


殺虫剤の使用量を減らすヒントはペニシリウム属のカビが重要になりそうだ。




ラウリン酸を調べているとちらほらと興味深い内容が目に付く。

独立行政法人の農畜産業振興機構のサイトでまとめられていたので抜粋する。

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脂肪酸分子種によって、ピロリ菌の生育性に大きな違いが見られた。すなわち、飽和脂肪酸であるC16:0のパルミチン酸やC18:0のステアリン酸はほとんど生育性に影響を及ぼさなかったが、飽和脂肪酸でも鎖長の短いC14:0のミリスチン酸やC12:0のラウリン酸はピロリ菌の生育を著しく阻害した。また、パルミチン酸やステアリン酸と鎖長が同一であるが不飽和脂肪酸であるオレイン酸やリノール酸もまた顕著な阻害活性を有していた。

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畜産の情報-調査・報告 チーズの新規保健機能-2008年8月 - 独立行政法人 農畜産業振興機構より抜粋


ピロリ菌といえばグラム陰性微好気性の細菌で、ラウリン酸等の抗菌性の脂肪酸はこれらの細菌の膜に作用して溶菌している可能性があるそうだ。

ヘリコバクター・ピロリ - Wikipedia


ラウリン酸は哺乳類の乳に含まれていて、乳幼児に対して抗菌作用を与えているという話題もどこかで見かけた。




もし土壌でペニシリウム・ロックフォルティのような周辺にラウリン酸を増やす菌が優勢であったとする。

ラウリン酸の抗菌作用によってグラム陰性細菌の極端な増殖を防ぐことによって軟腐病菌や青枯病菌の勢力が弱まる。

平行して菌根菌が活発になり共生する植物の植食性昆虫への耐性が増す。

グラム陰性の細菌とは?


この話が正しいのであれば、アオカビが増すような環境にできれば、殺虫剤や殺菌剤の使用量の削減に繋がる。


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