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植物の高温耐性とイソチオシアネート


最近、野菜の栄養価と栄養となる物質が野菜の体内でどのように働いているか?を調べている。


この背景には、栄養価の高い野菜は栽培地の地質や気候条件と栽培者の腕によるものが主の要因だとして、気候条件はどうにもならないけれども、野菜自身で(人にとって有用な)栄養素がどのように働いているか?を把握すれば、肥培管理にポジティブな影響を与えるだろうという予測をしているからだ。


最初のとっつきとして、ビタミンを見てきた。

※ミネラルは肥料の方で頻繁に挙がるので、人体の方はあまり見ていない。

遥か昔に植物が上陸にあたって獲得した過剰な受光対策


栄養を調べていると、頻繁に見かける名称としてポリフェノールがある。


P2240106

イチゴの果実の着色を担う物質は何か?


ポリフェノールとは、そういう名前の物質があるわけではなく、


Phenol2

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フェノール - Wikipedia


六角形のベンゼン環であるフェノール基を持つ化合物が、複数(ポリ)繋がったものを指し、木の幹の主成分のリグニンあたりも狭義の意味でのポリフェノールとなる。

ポリフェノール鉄錯体と酸素供給剤で青枯病の発生を抑制


炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミンとミネラルの五大要素に加え、第六の要素としてポリフェノールを加えるという話もあるらしいので、そろそろ栽培とポリフェノールを真剣に見ていかなければならないなと思い始めてきた。


というわけで、早速ポリフェノールを検索してみたら興味深い論文に遭遇した。




ブロッコリーのビタミン C,S-メチルメチオニン,ポリフェノール含有量の部位別解析と細胞機能への影響 - Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi, 62(5), 242-249, 2015


タイトルを見ての通り、


broccoli


植物にとってビタミンB6とは?の記事で触れてきたブロッコリの健康効果についての論文なのだけれども、衝撃的な内容があったので、色々と端折って、衝撃的な内容を紹介する。


ブロッコリに含まれる各種ビタミンの説明の他に新たな機能の探求ということで乳がんの抑制効果についての調査結果が記載されていた。

試験内容は乳がんの培養細胞に対してブロッコリの花蕾(普段食している部位)、茎、主軸下部、葉軸、葉と根といった各種部位から抽出したものを与えて、がん細胞の増殖抑制を見た


驚くべきことにがん細胞の抑制効果は花蕾ではなく根がもっとも高いという結果になった。

事前に各部位のビタミンC、ビタミンUとポリフェノールの量を促成していて、予想通り花蕾が高く、根はこれといって特徴が無かったにも関わらずだ。


根には一体何があるのだろうな?


栄養豊富と言われているブロッコリにはまだまだ凄い機能がありそうだ。


追記

今回紹介した論文にSメチルメチオニンという名称が記載されている。

これはビタミンUと呼ばれるもの。

WikipediaのS-メチルメチオニンのページから抜粋すると、胃液の分泌を抑え、胃粘膜の修復に関与するものだそうだ。

S-メチルメチオニン - Wikipedia


明確な論文を読んだわけではなく、検索結果を流し読みしていた程度だけれども、植物体内での働きは耐塩性の獲得に関与していそうな感じがする


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