ミミズは耕盤層に移動し、層でミミズ孔を形成するか?の記事の続き。
畑をトラクタで耕すことで形成される耕盤層をミミズが壊すことが出来るのか?という問に対して、
ミミズは地表から1メートル深くまで移動するという報告があったため、耕盤層付近まで誘導出来る術があれば可能では?ということになった。
※耕盤層は表土から30〜50cmあたりのところに出来る
今回はミミズがどれ程深くまで移動することが出来るのか?を調べていた時に得た内容を紹介する。
中村好男著 根の生育環境としてのミミズ - 根の研究(Root Research) 10(4):127-133(2001)に興味深い内容が記載されていた。
129ページで整理されているミミズの分泌物の糞に植物ホルモンの記載がある。
そこに記載されている植物ホルモンというのが、ジベレリン、サイトカイニンとオーキシンになっている。
高校理科当たりで触れるけれども、サイトカイニンとオーキシンというのはどちらも発根に影響を与えるホルモンだ。
サイトカイニンは主根(深く伸長する根)と側枝の伸長を促進し、側根と茎の先端の伸長を抑制する。
一方、オーキシンは側根と茎の先端の伸長を促進し、主根と側枝の伸長を抑制する。
植物とミミズの共進化の観点で根はミミズを誘導しているように見えることから、これらのホルモンは相乗的に作用を発揮するはずで、植物の根の伸長を全体的に促進しているはず。
ミミズが植物の根に対して発根促進を行い、地中の少し深いところに伸長し、土を柔らかくしつつ、地中に酸素を供給する。
その酸素を頼りにミミズも少し深いところまで移動し、植物ホルモンを供給して、植物の根の伸長を促す。
なんてことを繰り返して、植物の根とミミズは土壌のより深いところを目指す事になる。
話は菌は耕盤層を破壊して、物理性の改善に関与するのか?に戻って、当初の話題では菌を増殖させた液体で菌耕を行うというもので、今回触れたような植物の根とミミズという関係ではない。
膨大な面積にところに微生物学に対して素人が培養した液体の菌が土の生態系で優勢になるはずもないので、菌耕が巷で言われるような効果があるならば、菌の増殖中に増えた物質に何らかのヒントがあるかもしれない。