前回の菌は耕盤層を破壊して、物理性の改善に関与するのか?の記事で、某所で提唱されている菌耕について見ることにした。

又聞きではあるが、提唱されている内容に無理があるなと思いつつ、実践者がいる以上、何らかの変化があるわけで無碍にはできないと判断し、菌耕から得られる知見はないかと模索してみた。


菌根で狙っている効果は団粒構造の形成、あわよくば耕盤層の破壊による排水性の向上だ。

※耕盤層は一般的に地表から30〜50cmくらいにある上から圧をかけられて固くなった層を指す。トラクタで頻繁に耕起された土壌で形成されている


団粒構造の形成は団粒のタネになるような結合力の高い鉱物、つまりは粘土鉱物が必要で、粘土鉱物が細かくなるような流れがあればいい。

この流れは菌が生成する有機酸があれば、粘土鉱物の層間水の箇所が開き、それに合わせて有機物の定着が増すのであり得る。

根は地面を耕し土を形成する


問題は耕盤層といった酸素が少なく、有機物が少ない箇所で菌の活性は高いのか?

菌耕によって排水性が増したという報告は、



何らかの影響でミミズが耕盤層に移動したことではないか?と当たりを付けた。


この予想に対して、ミミズがどれ程深い場所まで移動するか?を知る必要がある。

というわけで早速検索してみたところ、古い内容ではあるが、中村好男著 根の生育環境としてのミミズ - 根の研究(Root Research) 10(4):127-133(2001)に辿り着いた。


この報告では、ミミズが移動した時にできるミミズ孔と植物の根の伸長について記載されている。



ミミズといえば、上の写真のように土表面に黒い塊をよく見かける。

この黒い塊は糞らしいが、ミミズ孔の壁にも同様の黒い塊が出来る。


この黒い塊には菌(糸状菌:カビ)や好気嫌気どちらの細菌が集まって、塊にある硝酸態窒素等を利用している。

好気性の細菌が活発になっていることから、ミミズの孔はガス交換が行われている事がわかる。

更に面白い事にミミズの孔でトビムシが移動し、カビを捕食している。




そろそろ本題に移って、ミミズは耕盤層付近に移動するか?という疑問だけれども、ミミズ孔は地表から1メートル深くまで達する事があるそうだ。

ミミズは土壌中の水分、酸素や栄養塩(無機リンや無機窒素等)を探索しながら移動する。


ミミズと植物の根の関係について報告中では、

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まるで根はミミズを誘引するがごとく多様な物質を分泌する。枯死根(有機物)はミミズのエサとなり、有機物や鉱物は根が吸収しやすい形態に変換させられる。

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中村好男著 根の生育環境としてのミミズ - 根の研究(Root Research) 10(4):127-133(2001) 130ページより引用

と表現している。



何らかの方法で耕盤層付近に酸素と栄養塩を到達させることができれば、ミミズが耕盤層にミミズ孔を形成する事はあり得る事になる。


余談だけれども、表層のミミズは地表の落葉等を地中に引きずり込むという行動があるため、地表に有機物を積んでおくだけでも、地中への有機物の補給に繋がる。

後は地中に潤沢に良質な粘土鉱物があるか?だ!


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