サツマイモとラウリン酸の記事まででラウリン酸について触れ続けた。
中鎖の飽和脂肪酸は何なのだろう?とうっすら考えていると、脂肪酸とは一体なんなのだろう?と脂肪酸のことを何も知らないのだなと気が付いた。
脂肪酸といえば、
緑の箇所のグリセロールに3個の脂肪酸が結合してできたトリアシルグリセロール、一般的に中性脂肪と呼ばれるものがある。
他に
グリセリンの3個の手の内の一つが脂肪酸ではなく、リン酸になっているもので、細胞膜を形成するリン脂質がある。
脂肪やリン脂質の構成でラウリン酸が使用されるのだろうか?
リン脂質に焦点を当ててラウリン酸が使用されるのであればどうなるのか?を考えてみる。
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左のジグザグの線の箇所は各折れ目にC(炭素)があって記述が省略されている。
それを踏まえてラウリン酸は炭素数が12個のC12:0と表記される中鎖の飽和脂肪酸だ。
飽和というのは左のジグザグのところに二重線がないものを指し、C12:0の右側の0は二重線が一つもないという意味になる。
飽和脂肪酸の特徴として融点が高く、二重線が一つ以上ある不飽和脂肪酸は融点が低いという特徴があり、
リン脂質の不飽和脂肪酸の量が増えれば、細胞膜の融点が下がり、寒い中で凍りにくくなる、つまりは耐寒性を得たということになる。
ラウリン酸がリン脂質を構成する脂肪酸であることが正しいとすると、
ラウリン酸を含んだリン脂質は寒さに弱いということになるわけで、熱帯地方の植物に多い傾向があるのかな?と想像してしまう。
であると、ヤシや寒さに弱いサツマイモにラウリン酸が含まれている事に合点がいく。
この話の延長上で把握しておきたいことが二点ある。
・食品の成分分析の際の各種脂肪酸の測定でグリセリン等に結合した脂肪酸を検知できるのか?
・細胞中に脂肪酸が単体で存在して何らかの生理活性に関与しているのか?
本件と関係ないけれども、
・長鎖の飽和脂肪酸から何らかの作用で中鎖の飽和脂肪酸になることはあるのか?
ということもある。
脂肪酸を理解できれば、秀品率を高める決定打を得られるはずだ。
余談だけれども、
中鎖の飽和脂肪酸の添加によってジャガイモのそうか病の原因菌の増殖を抑えることが出来たという報告がある。
飽和・不飽和脂肪酸添加によるじゃがいもそうか病菌への効果 - 函館工業高等専門学校紀要 51 巻 (2017)