脂肪酸、様々な研究報告を読み進めていくと、セラミド(スフィンゴ脂質)といったこれから様々なことがわかっていくであろう内容が多かった。

脂肪酸の理解が進むと、今まで以上に秀品率が向上するような知見が得られるのだろうなと明るい未来を感じた。

セラミド - Wikipedia

スフィンゴ脂質 - Wikipedia


昨日の記事であるラウリン酸はどこにある?に戻って

長鎖の飽和脂肪酸から何らかの作用で中鎖の飽和脂肪酸になることはあるのか?

に関して、ビール醸造微生物学というものから重要な内容を発見したので、今回はそれを紹介する。




古い内容ではあるが、

高橋礼介 ビール醸造微生物学の進歩 (1) - 醸協 1986 年81巻3号 p.174-180の脂肪酸の節に下記の文章が記載されていた。

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脂質は,酵母の細胞膜の構成因子として,生理的に重要な役割を担っている。

麦汁中に存在する脂質は麦芽や副原料から由来するが,これらの脂質は醗酵の初期に酵母に吸収されて大部分が麦汁中より消失する。

麦汁中の全脂肪酸の85%はパルミチン酸(C16),ステアリン酸(C18),オレイン酸(C18:1),リノレイン酸(C18:2)などの長鎖脂肪酸であるのに対して,ビール中の全脂肪酸の75~80%は,カブロン酸(C6),カプリル酸(C8),カプリン酸(C10)などの中鎖脂肪酸である。これら中鎖脂肪酸が醗酵過程中に酵母細胞により合成されたものである。

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高橋礼介 ビール醸造微生物学の進歩 (1) - 醸協 1986 年81巻3号 p.174-180の177ページより一部改変して抜粋


この内容は不飽和脂肪酸が多い植物の脂質を、酵母を介して中鎖の飽和脂肪酸に変えていると見ることが出来る。

脂肪酸の合成は炭素数が2ずつ増えていくので、C12のラウリン酸が合成されることも十分に考えられる。


酒の元である発酵モロミには中鎖の飽和脂肪酸が多い可能性がある。

酵母は土壌中にもいるわけで、植物性の有機物を鋤き込んだ場合に中鎖の飽和脂肪酸が増加する可能性も十分有り得る。


栽培で菌根菌の恩恵にすがる時に、何をすれば効率的であるか?

考える為の重大なヒントを今回の内容から得ることが出来た。