田の端に溝を掘っている方がいた。

※上の写真は昨年の収穫後に掘られていた溝


収穫後の溝を掘る事が用語として適切かどうかは不明だけれども、田の溝を掘る事自体は作溝と呼ぶそうだ。

作溝で狙う効果として、高低差を付けることで田の排水性を高め、田全体を乾きやすくする。


田の土を乾かす事のメリットとして乾土効果が狙えるそうだ。

古い論文ではあるが、乾土効果について記載されているものから拝借すると、水田土壌を乾燥させると、土に付着していた有機物の一部が外れ、微生物の分解がされやすい状態になる。

ここに水を加えると、有機物の分解が進み、多量のアンモニアが発生するそうだ。

水田の乾土効果発現量の予測と水稲の生育反応 - 1989 年 60 巻 2 号 p. 167-171

粘土有機複合体から粘土鉱物肥料についてを考える


稲作の収穫後に荒起こしをして、土全体が乾燥したところで、冬季に長雨があたると、乾土効果が減少する可能性があるから、



田の端を作溝することで、乾土効果の減少を防止するという解釈で良いか?




ここで気になることとして、乾土にすることで土から有機物をはがしてアンモニア態窒素を増やすこと、即ち団粒構造の面積を減らす事と、土から有機物を剥がさず、基肥で乾土効果で得られるはずだったアンモニア態窒素を尿素で補うのは、結果としてどちらが秀品率と利益率が高くなるのだろうか?

イネは肥料の窒素分をどう利用するか?


前者のやっていることは要約すると土壌の劣化であるわけで、保肥力も当然下がり、金属系の肥料分をみすみす逃し、稲作時のイネの発根量の低下にも繋がる。

土壌の劣化はガスが発生した際、土壌中にガスを溜め込む要因にもなるわけで、稲作時にイネを弱める要因になり得る中干しもしなければならなくなる。

猛暑日が多い中で中干しの意義を再検討する


中干しはガス障害の防止とトレードオフで高温障害やウンカの被害を増やす可能性があるので、水田土壌で有機物を自発的に減らす行為はすべきではなさそうだ。

トビイロウンカは大陸から季節風にのってやってくる

ウンカは水生生物の生態系にとって重要であるらしい


とはいえ、水田の一部に凹みがあって、そこに水が溜まっているのもよろしくないだろうし、何が正解に近いかの判断は難しい。




余談だけれども、




冬季にレンゲを栽培する場合は凹みに溜まる水は良くない。

レンゲ栽培をする場合は積極的に田の土を乾かすべきだろう。

レンゲ米栽培の田の冬のレンゲの様子


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