乾土効果について考えるの記事に引き続き、今回も冬の水田の作業を見る。
秋の米の収穫後に荒く耕す荒起こしをしている田を良く見かける。
荒起こしには色々と目的があるが、稲わらを速く分解させることも目的の一つとしてあるらしい。
昔は稲わらには利用価値が高かったので、粉砕して鋤き込むなんてことはなかったけれども、
最近は収穫時に稲わらを粉砕して土の上に散らすようになったため、稲わら鋤込みが原因の障害が発生するそうだ。
C/N比の稲わらの分解を早める為に、荒起こし時に石灰窒素、もしくは家畜糞を一緒に施肥することがある。
荒起こし時に窒素含有量の高い肥料を加えるわけだから、荒起こし後の更地には草が生えやすくなるわけで、冬場の管理として春の田植えまでに何度か荒起こしをすることがある。
この荒起こしが土の塊を粉砕して細かくする事に繋がり、土の表面積が増え乾土効果に繋がる。
ここらへんが荒起こしで期待する効果になるだろうか。
荒起こしの効果を整理していくつか懸念事項が生じた。
一つ目に粉砕した稲わらの分解を促進しないまま田植えの時期に突入するとどうなるか?で、
春の気候が暖かくなった時の田植え時に粉砕した稲わらが残っていると、入水時に稲わらの分解が起こり、田の水の酸素の消費により酸素濃度が少ない状態になる可能性がある。
幼苗時は葉から根に酸素を送る能力が弱い可能性が高いので、初期生育の負担は大きくなるかもしれない。
他に酸素濃度が低いと硫酸塩呼吸が発生し、硫酸塩から有毒な硫化水素が発生するようになる。
ここで思い当たる節がいくつかある。
話は大きく変わるが、冬季にレンゲを栽培していた方に話を移す。
レンゲ米の水田に集まる昆虫たちの記事で、レンゲ米の栽培をしている水田で、昨年の田植え直後にハエが集まっていたことと、
他の田と比較して、レンゲ米の水田のイネの初期生育が遅かったこと。
レンゲ米の栽培の大きな特徴として、田植えの直前まで草が繁茂していることで、しかもその草を鋤き込んだ時の分解が早いマメ科の草を育てているということ。
水田のハエは有機物が分解した時に発生する二酸化炭素やアルコールを感知して寄ってくるらしく、二酸化炭素の方であれば水中の酸素が消費されていることになる。
レンゲ米の水田ではハエの他にウキクサがいたのでおそらく藻(微細藻類も含む)もいると過程して、これらの光合成生物による酸素の発生が重要になるのかな?
これだと、イネと窒素化合物の競合が発生するので、ここらへんのさじ加減に秀品率の向上の鍵があるような気がする。
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