長野の栄村小滝集落の米づくり前編で昨年の夏に長野県と新潟県の県境にある栄村に行った。
この村のとある集落では、集落で農法が統一されていて、超高品質な米が収穫されている。
先日、小滝で出荷関連の合同会社を経営されている方が京都に来られたので、私が訪れた後、つまりは大型台風の季節の話を聞いた。
台風と言えば、台風一過の後のイネの倒伏が深刻な問題となる。
興味深いことに、小滝集落ではごく一部の畑を除き、イネが倒伏することがなかったらしい。
倒伏したところは一部では秋落ち、収穫前の穂発芽が見られたため、
おそらくだけど、品質と強風への耐性はおそらく同じ要因である可能性が高いと予想できる。
倒伏しにくい穂が美味しいお米であるとするならば、この要因を追求することが、日本全体で米の品質が一段上がることにもつながるわけで、是非とも知っておきたいところというわけだ。
まず、小滝集落で秋落ちしたところとそうでないところの差は、
玄武岩質的な火山灰の粘土の客土がある。
しかも驚きなのが、わざわざ山の中腹といった重いところの粘土を客土していた。
ところどころ茶色になっていることから、風化した鉄が多いことが伺える。
決定的な違いは赤い粘土の客土であったため、この赤い粘土が品質に大きく左右していると判断しても、おそらく大きく外すということはないだろう。
話は変わって、倒伏しにくい米という話題は時々あって、その時にイネにシリカ(ケイ酸)を吸収させることが有効という話題が非常に多い。
シリカをWikipediaから引用してみると、
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シリカは、二酸化ケイ素(SiO2)、もしくは二酸化ケイ素によって構成される物質の総称。シリカという呼び名のほかに無水ケイ酸、ケイ酸、酸化シリコンと呼ばれることもある。
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二酸化ケイ素と聞くと、
石英を彷彿させるけれども、石英は非常に風化しにくい二酸化ケイ素なので、おそらくこれは関係ない。
続いて、ケイ酸を調べてみると、
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ケイ酸とは、化学式 [SiOx(OH)4−2x]n で表されるケイ素、酸素、水素の化合物の総称である。確認されているものとしては、オルトケイ酸 (H4SiO4)、メタケイ酸 (H2SiO3)、メタ二ケイ酸 (H2Si2O5) などがある。単にケイ酸と呼ぶ場合、メタケイ酸のことを示すことが多い。
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どうやら、栽培で利用されるケイ酸肥料は数あるケイ酸塩の中でメタケイ酸を指している可能性が高い。
メタケイ酸の化学式を見ると、頑火輝石(Mg2Si2O6)や鉄珪輝石(Fe2Si2O6)辺りのイソケイ酸塩の鉱物になるだろうか?
※鉄珪輝石の鉄は二価鉄
※頑火輝石と鉄珪輝石は合わせて存在している(連続固溶体)。
もしくは、
単独型のネソケイ酸塩であるかんらん石とか
※かんらん石の固溶体もマグネシウムと鉄を含み、鉄は二価鉄
どちらも化学式からの勝手な判断になるけれども、ミネラルを離しやすく、結果としてケイ酸も比較的水に溶けやすいイメージがある。
これらは、
(株式会社誠文堂新光社 日本の石ころ標本箱 201ページの図を参考にして作成)
玄武岩質的な岩石に多く含まれるらしい。
赤い粘土に栽培で利用したいシリカがたくさん含まれていることになる。
更に二価鉄やマグネシウムも多く含んでいるので光合成周りも強化できる。
秀品率を高める要因を赤い粘土にある頑火輝石らへんに焦点を絞って、植物(特にイネ)とシリカについての関係性について調べてみよう。
- 続く -
追記
玄武岩質的な火山灰であれば、カリを含む鉱物が少ないはずで、何らかの要因で鉄の吸収が封じられたら、すぐに秋落ちが発生しそう。
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