前回の大歩危の三名含礫片岩の記事で徳島県の大歩危峡に訪れたことを紹介した。
大歩危を訪れた理由はJAの栽培の指導書に2:1:1型粘土鉱物(クロライト:緑泥石)が栽培にとって有効であると記載されていたことで、緑泥石で有名な箇所を探していたら、吉野川の緑泥片岩が該当したので、実際に見てみたいということだった。
ここで大歩危という地名をしっかりと見てみると、歩くのが危ないと書いて歩危(ぼけ)と読むが、大股で歩くと危ないというのが一説にあるらしい。
歩くのが危ないということで川のすぐそばに近づくことが出来ない。
というわけで、川に近づくことが出来る場所を求め、下流に移動することにした。
ここで吉野川の川筋を見てみる。
※川の名前を調べる地図のWebサービスを利用して取得した画像を引用
吉野川は三波川変成帯の山間部から始まり、大歩危の南で北に向かい、日本の大断層である中央構造線に沿って、東に流れる川となっている。
以前訪れた中央構造線博物館の屋外にあった地図と合わせるとわかりやすい。
大歩危の下流を目指すということは、北に向かうということで、ちょうど川の流れる方向が北から東に変わるところで川に安全に近づける箇所があったので降りてみた。
どうやって安全であるかを確認したかというと、近隣住民が犬の散歩で歩いていたことを見て安全だと判断した。
川に堆積した石を見ると、扁平化したものや緑のものが多かった。
創元社から出版されているひとりで探せる 川原や海辺のきれいな石の図鑑という本を頼りにして緑泥片岩を探してみた。
白い線が横方向に入っているので、おそらくこれが緑泥片岩なのだろうと判断した。
この石の表面を顕微鏡で確認してみると、
緑色であることがわかる。
先程の本によると緑泥片岩の主鉱物である緑泥岩は細粒や粉状であるため、結晶の外形を見ることが出来ない他、
緑泥片岩には他に緑廉石(りょくれんせき)という鉱物も含まれる。
緑泥石と緑廉石の違いは前者が暗緑色で後者が黄緑色をしている。
上の石では暗緑色と黄緑色の両方があるので、両方の鉱物が含まれている可能性が高いと言える。
他の石で、
小さな窪みが出来ている石もちらほらと目についた。
※上の写真は極端に大きな窪みのものを選んだ。
緑泥石が粘土鉱物であるので、水と馴染みやすく、比較的はやくに風化して川の水に含まれ流れていったということであれば、様々な事が一気に開けてくる。
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