写真の場所は京都農販で推している菌床堆肥の製品化する前に追熟を行っている工場の一部
栽培の終わったキノコの培地を集めて熟しつつ乾燥して重量を軽くしている最中の様子。
市販の良い堆肥というのは熟しているのはもちろんのこと、
水分をとにかく飛ばし、袋詰を終えた後に袋の中で栽培でふさわしくないような病原性微生物が増殖しないような環境にしていないことが大事。
詰まるところ、
追熟に関与した微生物らにとっても商品化した堆肥は乾燥ストレスにさらされている事になる。
菌床堆肥であればキノコあたりの糸状菌が最後の方に活躍した微生物になるだろう。
これらの菌が最終的な乾燥ストレスに対して、堆肥の質にどのように影響を与えるのか?
今回はこれをテーマにして話を進めることにしよう。
※一部のキノコにはトレハロースがふんだんに含まれているらしいの話の続き
乾燥は外環境の浸透圧の上昇であるので、浸透圧ストレスと菌で検索してみたところ、
Moniliella属酵母と浸透圧ストレス応答 ポリオール生成と糖代謝に見る適応戦略 化学と生物 Vol. 52, No. 7, 2014という読み物に行き着いた。
上記の読み物ではキノコ(糸状菌)ではなく、出芽酵母なので参考程度として捉えるが、
酵母が浸透圧ストレスにさらされるとミネラル等の内容物が外環境に移行しないように細胞内でグリセロール等を合成して浸透圧を高めて、物質の移行を阻止する。
※タイトルにある酵母ではエリスリトールを合成するが、自然界でこの糖アルコールを合成する生物は稀であるらしい
浸透圧ストレスにさらされるとトレハロースの合成量も増加するとされるが、更にストレスを与えるとトレハロースの量は減少し、グリセロールが増加するので、トレハロースを基にしてストレス耐性の物質を合成していると推測された。
堆肥の製造過程で終盤に残る菌の細胞内ではおそらくトレハロースの量は少ない可能性がありそうだ。
今回の内容では環境変化による糸状菌の菌糸の現象の際の外環境への物質の放出には触れていない。
実際のところはどうなのだろうな?
ヒントになるかもしれない読み物
糸状菌のオートファジーと物質生産 化学と生物 Vol. 52, No. 11, 2014