土壌中の有機態リン酸の利用を促したいの記事で、作物による有機態リン酸ことフィチン酸の利用について見てきた。
最近一番注視しているのが土壌中に残留したフィチン酸で、この活用が急務だと捉えている。
何故かというと、フィチン酸は強いキレートを持ち、作物の微量要素の吸収を阻害しつつ、既存の土壌分析の方法では測定されず。
これらを踏まえて、どうしても活用していきたい資材に廃菌床があり、この資材にはキノコを栽培している時に米ぬか等の炭水化物を利用するので、未利用の有機態リン酸が含まれている可能性が高い。
更に廃菌床は堆肥的な利用をするので、一度に施肥する量が多いという傾向があり、可視化しにくい有機態リン酸が土壌中でどれ程増えたのかがわかりにくい。
何故、廃菌床を積極的に利用していきたいかというと、大きく分けて下記の二点がある。
・キノコの活動により、培地が土に馴染みやすい形状になっている
・土壌の生物性が栽培者にとって好ましい状態に向かいやすい(減肥減農薬に繋がる)
農薬や化学肥料を使用して栽培すると野菜が育たない環境になるという意見に対して2
上記の廃菌床の堆肥利用のメリットは可視化出来ない有機態リン酸の蓄積のデメリットを上回る。
であれば、次に考えるべき事は元肥の時に無機リン酸を使用しないということになる。
必須要素と言われるリン酸を切るのは英断が必要になるが、既存の方法で土壌中の有機態リン酸を可視化出来ないので仕方がない。
であれば、廃菌床 + リンゼロの施肥設計ともう一つ必要になるのが、栽培中にリン酸欠乏の症状らしきものが見られた時の追肥用としての水溶性(速効性)のリン酸肥料を常に持っておくという事だろうか。
持っておきたい水溶性のリン酸はリン酸アンモニウムになるだろう。
何故なら、廃菌床にはキノコの栽培時に利用した石灰が残っていて、土壌の石灰過剰も深刻なのでリン酸の追肥の際に少しでも石灰の施肥の機会は減らしておきたい。
余談だけれども、リン酸アンモニウムといえば、
消化器の中に含まれる消火剤由来の肥料がリン酸アンモニウムだったよな。
消火剤由来の肥料には硫酸アンモニウムも含まれているらしいので、この肥料に着目する場合は元肥で窒素控えめ、物理性の向上を積極的に行うといった方針が必要になる。
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