廃菌床堆肥の恩恵を得る為に無機リン酸の使用を見直すまでの記事で栽培中のリン酸についての様々なことを見てきた。

リン酸肥料は残留性が高く、土壌中に過剰に蓄積している場合は秀品率が低下しつつ、農薬散布のコストが上がり、利益率が下がる恐れがあることを記載した。

土壌分析でリン酸の数値が高い結果が返ってきたら次作は気を引き締めた方が良い


肥料におけるリン酸は必須要素として扱われているが、残留性の高さを加味すると、リン酸を必須要素から外し、微量要素並の扱いにした方が良いのかもしれない。


そんな中、興味深い内容を紹介する。




秀品率が高い畑(ネギ)を見かけると、その土を頂き土壌分析を行っている方がいて、その方から最上位に位置する土の土壌分析の結果を頂いた。

その結果というのが、


better_soil_condition_ana_res


で、どの畑も似たような結果になっている。

注目すべきはリン酸値が低い事で、この畑の作物がどれもリン酸欠乏になっているのか?といえば、どの要素でも目立った欠乏症らしき症状は見られないらしい。


有機態リン酸ことフィチン酸の測定方法はあるのか?の記事で記載した通り、現在の土壌分析のリン酸値の測定の仕組みでは土壌中のすべてのリン酸を対象にしているわけではなく、病原性の微生物が活発になりやすいリン酸の形状を対象にしているので、リン酸欠乏が出ず、秀品率が高い(農薬の散布回数が非常に少ない)状態になる事は合点がいく。


作物の根圏で病原性を示す糸状菌による感染がなければ、根肥であるカリウムが多少足りていなくても、微量要素の吸収量が落ちていても悪影響は少ないはず。


今回の内容はまだサンプル数が少ないのであくまで傾向程度の話題だけれども、今回の内容を検証する環境を準備しているので、徐々に確度は上がっていく。


関連記事

菌根菌は木炭の施用で活性化する