昨年のちょうど今頃、大気中の温室効果ガスを減らしたいという記事で地球の温暖化により台風の被害は年々増す可能性があるという内容を紹介した。
昨今の地球温暖化は地球の周期で暑くなっているという説もあるけれども、温室効果ガスの方が騒がれていて、騒がれている内容を解決しつつ物事をシンプルにしながら前進するのが常なので、温室効果ガスの削減に貢献出来ることはないか?と模索してみる。
温室効果ガスは二酸化炭素や牛のゲップ等で発生するメタンだと言われているが、今一度温室効果ガスについて触れてみると、二酸化炭素の約300倍の効果があると言われる一酸化二窒素(N2O:亜酸化窒素)というものがあるらしい。
※図:気象庁|温室効果ガスの種類の人為起源の温室効果ガスの総排出量に占めるガスの種類別の割合を引用
人為期限の温室効果ガスの割合を見ると、二酸化炭素の1/10ではあるが、温室効果ガスの効果が300倍ということを加味すると、一酸化二窒素は二酸化炭素の30倍近く地球の温暖化に影響を与えていることになる。
この一酸化二窒素はどこで発生しているのか?を追ってみると、温室効果ガス「亜酸化窒素」を発生させる酵素の立体構造を世界で初めて解明-嫌気呼吸から酸素呼吸へと呼吸酵素が進化した手がかりを得る - 嫌気呼吸から酸素呼吸へと呼吸酵素が進化した手がかりを得る -というページに行き着いた。
このページには、
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一酸化二窒素は、二酸化炭素の約300倍強力な温室効果ガスであり、オゾン層を破壊する最も強力な気体です。土壌や海中に存在する微生物の呼吸により生じる一酸化二窒素は、人類による窒素系肥料の使用でその排出量が年々増加しており、21世紀の地球環境を議論する上で注目を集めています。一酸化二窒素を産生する微生物は、脱窒と呼ばれる呼吸をしており、酸素ではなく硝酸イオンなどの窒素酸化物を使って生きるためのエネルギーを得ています。この脱窒の過程で、微生物が持っている呼吸酵素NORが一酸化二窒素を産生しています。
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※上記リンク先のページより抜粋後、物質の表記を改変
と記載されていた。
窒素系肥料の使用量の増加によって、一酸化二窒素の排出量は増えているとのことで、その時に脱窒菌が関与しているとのことが記載されていた。
以前、脱窒で土壌中の硝酸態窒素が減るという記事で
図のような反応で見ていたけれども、脱窒について更に詳細を見るべきらしい。
脱窒は硝酸を還元することから始まり、
NO3- → NO2- → NO → N2O → N2
という反応の途中で一酸化二窒素が排出される。
※硝酸(一番左)から亜硝酸(左から二番目)の間でエネルギーを得る
栽培中で脱窒はどのような環境で起こるのかと言えば、基肥でEC高めの肥料を大量に入れた場合に発生しやすく、
この条件に該当するのが慣習的に入れられる家畜糞堆肥による土作りだろう。
堆肥として基肥する時、植物性の有機物由来の堆肥であればECは0.5前後だと言われるところ、家畜糞堆肥であればEC低めと言われる馬糞や牛糞であっても10倍近くあり、高ECのものを植物性と同じ感覚で大量に畑に投入する慣習がある。
高ECのものであれば土壌の物理性の改善は期待できない為、おそらく硝酸呼吸は活発になり一酸化二窒素の排出量も増えるはず。
※好気呼吸を行うカビからも脱窒の酵素が発見されている。
一酸化窒素還元酵素の結晶構造と呼吸酵素の分子進化 化学と生物 Vol. 51, No. 10, 2013
家畜糞堆肥による土作りは初年度は栽培しやすいかもしれないけれども、物理性や化学性を犠牲にした対処は年々栽培しにくくなる上、台風や長雨の発生要因にすらなり得る可能性もある。
環境問題に対して、生産しつつ問題を軽減できる可能性を持つ農業で、更に悪化させる可能性がある慣習があるのはいろいろと残念でならない。
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