栽培中のマンガン欠乏症を見かけたら、興味深い内容の記事を見かけたので紹介する。
どうやって見分けるの? 植物の生理障害7 ~生理障害の診断・マンガンによる障害~ 2010. タキイ最前線 夏号で殺菌剤を使用したマンガン過剰になる事があると記載があった。
この背景を理解する為に、植物のマンガンの利用について記載したい。
マンガンは 2 〜 7 価までの原子価を取り得る。
栽培では主に、マンガン(Ⅱ)からマンガン(Ⅳ)が話題に挙がるので、今回はこの範囲に留めておく。
マンガン(Ⅱ)は有用であるが毒性も高い為、土壌中にマンガン(Ⅱ)がある場合は、土壌の微生物らによって速やかに酸化され、酸化マンガン(MnO2)等として存在する。
植物がマンガンを吸収する時は、酸化されたマンガンを還元して根から吸収する。
この時、トマトであれば、シュウ酸を分泌してマンガンを還元するそうだ。
土壌マンガンの可給態化と植物のマンガン吸収に対する過酸化水素の効果 - 日本土壌肥料学会講演要旨集 45巻(1999)
話は冒頭のマンガン過剰症の方に戻って、殺菌剤を利用すると何故マンガンの過剰症に陥るのか?だけれども、殺菌剤を利用する事で、死滅した菌等から還元性のある糖が溶脱して、その糖がマンガンに作用して可給性のマンガンに還元されるそうだ。
還元されたマンガンを周辺の作物が一気に吸収して、マンガン過剰症を引き起こす。
他に土壌のpHでもマンガンの欠乏症や過剰症に影響を与えるが、今回はその話は触れない。
この手の話を読むと、現在の施肥の話題はNPKで考えられているけれども、炭水化物のスコアも必要ではないか?と思ってしまう。
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