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前回のトマトにどうやってケイ素肥料を効かせるか?の記事で、トマトはケイ素の非集積型の植物に分類されるが、それは根から葉にケイ素を運搬する輸送体の一部に欠損があったためで、本当はケイ素を欲しがっているのではないか?という話題から、葉面散布剤でケイ素(ケイ酸)肥料はないか?という内容を記載した。


今回は上記の内容の続きで、実際に葉面散布で使えそうなケイ酸肥料を探してみる。

タイトルでは有機栽培で使えるとしているが、有機で使えるものを把握しておけば、それはどんな栽培でも使用できる万能肥料になる。


この話の前提として、ケイ素を含む鉱物のケイ酸塩鉱物やケイ酸そのものの石英について触れておく必要がある。




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石英(SiO2)は風化しにくい鉱物として、岩が風化しても最後まで残る鉱物である。

ガラスの主成分でもある。

風化しにくいが故に水にも溶けにくい。

土を理解する為に石英を見詰める


天然のケイ酸塩鉱物を水に溶かすのはおそらく至難の技だろうなと。




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ケイ酸と言えば、イネ科の草が積極的に吸収しているので籾殻が頭に浮かんだ。

猛暑日が多い中で中干しの意義を再検討する


ただ、籾殻はなかなか土に還らない有機物で有ることで有名だ。

ここらへんのキーワードを頼りに検索をしてみたら、籾がら焼却灰は市販のケイ酸資材と同等のイネいもち病発病抑制効果を有する | 農研機構というページに辿り着いた。


低温焼却(400〜500℃)した籾殻が、慣行で使用する可溶性ケイ酸肥料に匹敵する可溶性ケイ酸の含有量があったそうだ。

籾殻の低温焼却灰を水に溶かした上澄み液に可溶性ケイ酸が豊富に含まれている事になるが、そもそもの話で低温焼却はどのようにすれば良いのだろうか?と考えてみたところ、


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籾殻燻炭が頭に浮かんだ。

安久絵理子等著 籾殻燃焼による熱利用と燻炭利用の経済性評価で籾殻燻炭と可溶性ケイ酸の話題があったので問題なくいけそうだ。


籾殻の低温焼却灰の話題で転炉スラグが名前が挙がっていたが、転炉スラグはカルシウム剤なので、石灰過剰の土壌で鉄剤を効かすの記事に記載した観点から極力使用したくない。


余談だけれども、籾殻燻炭を土作りに利用するという事が一般的だけれども、可溶性ケイ酸は土作り剤としては欲しくないし、せっかく籾殻を燻炭するという労力をかけるならば、追肥の肥料として有効活用すべきだろう。

緑泥石から土の形成を考える