前回の木の芽を叩くと放出される香りの記事で木の芽の香り化合物のリナロールを見た。
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リナロールはビタミンAやビタミンEの合成中間体で、植物にとっては重要な物質であることがわかる。
ここで一つ疑問になるのが、人は何故リナロールの香りを良い香りと感じるのだろうか?
リナロールに惹き付けられて、リナロールを摂取しても、人体ではそこからビタミンを合成できないはず。
木の芽から離れるけれども、果実からリナロールの香りを感じたら、そこから果実にビタミンが豊富に含まれていると感じるからなのだろうか?
それとも、リナロール自身に何らかの有効な効果があるのだろうか?
リナロールで再度検索をしてみたら、リナロールの抗菌活性とウンシュウミカンでのリナロールを合成する遺伝子の発現 - 農研機構のページに辿り着いた。
タイトルで大体予想できるだろうけれども、柑橘類の皮にはリナロールが含まれていて、それが柑橘類に感染する菌の増殖の抑制に関与しているというもの。
香り化合物と抗菌で再度検索してみたところ、古い内容ではあるが井上重治 - 香りの抗菌作用-アロマセラピーへの応用 - 化学と生物Vol. 39. No. 7, 2001に辿り着いたので読んでみると、菌(上記リンク先ではコウジカビのアスペルギルス属の菌)が植物の香りを吸収すると、何らかの要因で菌糸が伸長しないらしい。
人が植物の香りを吸収した時も人体内で同様の作用が起こるとされており、鼻風邪やのど風邪で有効だと報告されている。
人は植物の香り自体を欲しているのかもしれない。
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