ウンシュウミカンの苦味成分は他にもあるのか?の記事以降、ミカンに含まれる成分が気になりだした。
学部生の頃に受けた糖度計の講義でいろんなミカンの糖度を測定して、数値が大きいからといって美味しいわけではないという事に触れたことはよく覚えている。
果実の美味しさというのは、甘さはもちろんの事、酸味や苦味が複雑に絡み合っているため、甘さだけが極端に高くてもトータルで良い味覚にはならないという事だろう。
というわけで、ミカンに含まれる成分を検索をしてみたところ、原佑介等 メタボローム解析によるウンシュウミカン含有イオン性低分子化合物の網羅的測定と比較 - 日本食品科学工学会誌 第 67巻 第12号 2020年 12月にたどり着いた。
タイトルからわかる通り、ウンシュウミカンに含まれる成分のうち、水に溶ける成分を網羅的に解析したもので、とても細かくウンシュウミカンに含まれている成分が整理されていた。
※解析に用いたウンシュウミカンは静岡県浜松市にある三ヶ日町産のもの
この解析報告で面白いのがジュースにした時の成分も記載されていて、貯蔵等を経た果実を原料にしてジュースと貯蔵していない果実の原料のジュースを比較して特定の成分の含有量が変化していたという内容があった。
例えば、塩味を呈するGABAだけれども、貯蔵した果実の方に多く含まれているとか。
GABAといえば、周辺のpHが低下した際にグルタミン酸が反応して合成されるもの。
グルタミン酸自体は旨味を呈する成分であるため、貯蔵することでウンシュウミカンの旨味が低下して、塩味が向上するといった事がわかる。
貯蔵することで旨味が低下して、塩味が向上するのはよろしくないのでは?と思うかもしれないが、人の舌は塩味を感じる事で甘味が増強するので、糖度のみが高い貯蔵果実をジュースにすれば価値が向上するといった事が予想できる。
※塩味で甘味が増強するのは食塩の話でGABAの塩味で甘味が増強する確証はない
ウンシュウミカンに含まれる成分を見ていたら、見たこともない成分が含まれていて、ミカンの美味しさが果糖やクエン酸のバランスだけでは判断できないものなのだなと思えてきて、各成分を知れば視野も広がる予感もあるので、各成分を丁寧に見ていく事にした。