前回のヤシガラを試したら綺麗な細根が増えたらしいの記事で、ヤシガラを試したら細根が増えたというやりとりから、ヤシガラの元である椰子の実の成分を調べ、ヤシガラにも多少実の成分が含まれているであろうという仮定から、脂肪酸が植物の根に与える影響を調べてみたら、菌根菌であるアーバスキュラー(AM)菌の単独培養の研究に行き着いた。
今回は更に椰子の実に含まれる脂肪酸の内、
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最も量の多いラウリン酸(12:0の飽和脂肪酸)についても調べてみることにした。
先にラウリン酸について触れておくと、
炭素数12の飽和脂肪酸で、ココナッツオイルやヤシ油に含まれる主な酸で、抗菌活性を持つと考えられている。
石鹸の材料として活用されている。
これらを踏まえた上でラウリン酸で検索してみたところ、
杉浦優太他 アーバスキユラー菌根菌の成長に対する脂肪酸の促進効果 土肥要旨集 第63集(2017) J-STAGE
というPDFに行き着いた。
上記PDFは概要だけになるが、
ラウリン酸、もしくはミリスチン酸(14:0の飽和脂肪酸でヤシ油では二番目に多い脂肪酸)を添加した培地の菌体重量は無添加に比べてそれぞれ1.3倍、1.4倍に増加したという報告があり、ラウリン酸の添加量は重量増加量に対して極微量であったため、ラウリン酸は脂肪酸以外の炭素源の吸収と利用を促進する物質である可能性がある
と締めくくられていた。
ラウリン酸やミリスチン酸は動物性・植物性脂肪中に広く見られる飽和脂肪酸であるらしいので、どの作物でもこれらの脂肪酸を合成しているはず。
今回の話はヤシガラにはヤシ油の成分が残っているという仮定の元での話なので、ヤシガラがAM菌の増殖に関与したということにまだ直結することができない。
だけれども、秀品率向上に多大な影響を与えるAM菌についてより深く知れる機会になった。
AM菌はリン酸等の養分の回収に関与するので、
ヤシガラ≒AM菌の話が成り立つならば、
家畜糞堆肥等の土作りによりリン酸過剰になってしまった土壌で緑肥でクリーニングを行う時、
緑肥のタネを蒔く前に土作りの一貫としてヤシガラを施しておくことが有効になるかもしれない。