綺麗な細根の発根量を増やしたいと試行錯誤されている方から、



ヤシガラを組み込んだら発根の質が挙がったという話を聞いた。

発根に良い影響を与える成分があるのでしょうか?と質問があった。


ヤシガラ肥料と言えば、土壌の排水性を向上させる為に活用される方が多く、

繊維質が豊富で、カリが比較的多めの肥料として出回っている。


カリは根肥と言われるので、カリが発根に良い影響を与えたのだろうか?

繊維質を入れたことで根腐れしにくくなったという要因もあるだろうけれども、

それだったら他の肥料を試した際も同じようなことがあるはず。


ヤシガラには何かあるかもしれないと感じたので、

ヤシガラについて調べてみることにした。





ヤシガラというのは、主にココヤシの実から油分を圧搾した後の粕で、

実の周りにある繊維状のものが主な成分であるが、

もしかしたらヤシの実の油分が粕に入っているかもしれない。


Wikipediaでヤシ油を調べていると脂肪分が多いことに気が付く。


ヤシ油(100g中)の主な脂肪酸の種類
項目 分量(g)
脂肪 100
 飽和脂肪酸 86.5
  8:0(カプリル酸) 7.5
  10:0(カプリン酸) 6.0
  12:0(ラウリン酸) 44.6
  14:0(ミリスチン酸) 16.8
  16:0(パルミチン酸) 8.2
  18:0(ステアリン酸) 2.8
 一価不飽和脂肪酸 5.8
  18:1(オレイン酸) 5.8
 多価不飽和脂肪酸 1.8
  18:2(リノール酸) 1.8

ヤシ油 - Wikipediaより引用


脂肪分は飽和脂肪酸が多く、一価や多価の不飽和脂肪酸が若干含まれている。

脂肪酸の生合成


ここでふと思ったこととして、

脂肪酸の肥料としての効果というものを一度も見たことがないことに気が付いた。

有機質肥料では脂肪酸は高カロリーなので微生物の餌と漠然と言われることがあるけれども、

微生物の餌という内容だけであっても、興味深い内容があるかもしれないので、微生物と脂肪酸について調べてみることにした。




共同発表:アーバスキュラー菌根菌の純粋培養に世界で初めて成功~微生物肥料としての大量生産に道~ | 国立研究開発法人 科学技術振興機構という研究結果に行き着いた。


この報告では菌根であるカビの仲間のアーバスキュラー(AM)菌が培養中に脂肪酸を添加することで単独培養をすることができたと記載されていた。

アーバスキュラ菌根菌


AM菌は遥か昔の植物の陸上進出の際に植物と共生して進出を促進したとされる菌で、

植物と強い共存関係があり、培養が困難とされていたが、バクテリア由来の脂肪か


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16:1(n-7)の一価不飽和脂肪酸であるパルミトレイン酸でAM菌の増殖が確認された。


上のヤシ油の脂肪の表にパルミトレイン酸の記載はないが、植物油内にも含まれているとされる。

パルミトレイン酸 - Wikipedia


漠然になるけれども、

脂肪酸にはAM菌に何らかの良い影響を与えていてることがわかった。


今回の話はヤシガラに脂肪酸がある程度含まれていることが前提なので、

ヤシガラの油の圧搾が高性能で脂肪酸がほとんど残っていなければ意味がない。


-続く-