無酸素性運動の疲労と持続についての記事で無酸素性運動で骨格筋の筋細胞に乳酸が溜まり、細胞内のpHが低くなったら筋肉の収縮(運動)が停止する。

停止しないような緩衝性として、筋細胞から乳酸を排出するタンパクがあるという内容を記載した。


ここで一つ疑問が生じることも記載した。

筋細胞から乳酸を排出する先が血液だとして、血液のpHが下がるのも運動を停止する要件となるはずで、この辺りで緩衝性はあるのだろうか?


この疑問を解消すべく改めて検索を行ったら、筑波大学の陸上研究室が運営する陸上競技の理論と実際というサイトで疲労状態に勝つための能力?―緩衝能力― MC1 奥平柾道という読み物があった。

上記のページに拠ると、血中の重炭酸イオン(HCO3-)について触れていた。


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400m走において、レース後半まで重炭酸緩衝能力を有していたものが速度を維持していたという結果があるそうで、この緩衝能は二酸化炭素の排出により測定するそうだ。

HCO3- + H+ → CO2 + H2O




上記の内容であれば、重炭酸緩衝能力は個人差がありそうで、どこで重炭酸イオンが生成されるのか?が気になったので更に検索をしてみることにしたところ、飯野靖彦 酸塩基平衡 - 日腎会誌:2001. 43(8):621-630にたどり着いた。

上記の読み物に拠ると重炭酸イオンは腎臓により生成されているようだ。


腎臓といえば、老廃物の排出に関する臓器というイメージがある。

乳酸は静置時に貯蔵性の糖のグリコーゲンの合成の材料になるが、運動時においては老廃物のようにも見える。


体内の老廃物を適切に処理出来れば、運動における持続力が維持されるというのはなんとも興味深い。