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前回の硝酸イオン低減化への道の記事で、農業の研究では硝酸イオン低減の栽培体系の確立を目指しているが、実際の栽培では逆になっている。

逆になっている要因は家畜糞を堆肥とみなして、有機質肥料と似た成分の家畜糞を堆肥使用時の量(5倍〜数十倍)を投入する傾向がある。

硝酸塩に近い成分を豊富に含む家畜糞を大量に投入したら、作物や土壌に何らかの悪影響を与えるのは当たり前の話で、ある年を境に作物の光合成は急激に下がる事に繋がる。

※家畜糞の施用の障害はマンガンの吸収が低下することで、マンガンは光合成の要の要素なので、光合成も落ちる。

牛糞堆肥による土作りを勧めてくる方の腕は確かか?


光合成されないと、葉(や根)に溜め込んだ硝酸イオンは消費されなくなるのも当たり前の話となる。

人が葉や根に過剰な硝酸イオンを溜め込んだ野菜を摂取したらどうなるのだろう?

※硝酸イオンを過剰に溜め込んだ野菜は相対的にマンガンが少ない

抗体こと免疫グロブリンの産生にとって何が重要か?


この問に対していくつかのページがあったので整理してみる。




最初に徳島大学の大学院のとある研究室のページを紹介する。

4. 食原性亜硝酸由来の一酸化窒素(NO)産生系の生理的・病態生理的意義 | 徳島大学薬理学のHP

本当は論文に目を通した方が良いのだろうけれども、取り急ぎ要約されたWebサイトの内容にしておく。


人体において硝酸イオンは、アミノ酸の代謝(分解)時に発生することと、野菜の摂取によって量が増える。

増加量はアミノ酸の代謝と野菜の摂取は同程度か野菜の摂取の方が多い傾向にある。


体内での硝酸イオンの合成は、細胞が何らかの刺激を受け、アルギニンというアミノ酸から一酸化窒素が発生し、一酸化窒素が酸化して硝酸イオンになるらしい。

柴田勝 体内における硝酸塩類の動向と働きについて - 農業と科学 平成31年4月1日

野菜の美味しさとは何だろう?オルニチン


一酸化窒素は活性酸素として、少量であれば免疫として働くが、多量であると炎症の悪化や発がん性を示す事がある。

青木玲二 マクロファージを用いたNO産生の簡易評価




これらの内容を踏まえて、人体内での硝酸イオンの挙動に話を戻す。

体内で発生、もしくは摂取で得られた硝酸イオンが血液に移り尿として排出されるが、一部は唾液中に集まり口腔内の嫌気性細菌により亜硝酸イオンに還元される。


亜硝酸イオンは胃に移動して、胃酸により一酸化窒素になる。

この一酸化窒素は血管拡張作用等の働きをする。

一酸化窒素 - Wikipedia


野菜の摂取による硝酸イオンが上記の反応に影響を与えているか?は謎であったが、影響を与えている方が有力であるそうだ。


前述した通り、一酸化窒素は少量であれば人体にとって有益であるが、多量であれば有害となり得るので、硝酸イオンを多く含む野菜の摂取は控えた方が良さそうだ。

※作物の葉で硝酸イオンが適宜消費され、タンパク量が多い野菜の摂取でも一酸化窒素の材料は得られる


前回の記事でニトロソ化合物という用語を挙げたが、この用語については次回以降の記事で見ていくことにしよう。


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