(右の色の濃い米ぬかの塊が熟成米ぬかボカシ)
ボカシに限らず、家畜糞堆肥等の天然物由来の肥料を製造する時、好気発酵と嫌気発酵、どちらが良いの?と意見が分かれる。
ちなみに好気発酵は空気、特に酸素がふんだんに入る様に定期的にかき混ぜながら発酵する手法。
有名どころでいえば鶏糞の一次発酵がそれに当たる。
一方、嫌気発酵は酸素を遮断する様に密閉して静置して発酵する手法
今回のボカシがまさに嫌気発酵
米ぬかボカシもそうで、好気が良いという方もちらほらと見る。
しかしだ。
ボカシという特質上、好気と嫌気のどちらが良いかと言われれれば、もちろん嫌気発酵と答える。
これから数回に渡って、米ぬかボカシの発酵について見ていこう。
発酵を見る時は、構成成分をまとめてみるのではなく、目立った成分を分けながら反応を追っていくのが鉄則!
それを踏まえた上で米ぬかはデンプン(脂肪も含む)が多い有機質肥料として、これからデンプンの反応を中心に見ていこう。
まず注意点として、
デンプンは構造が大きく、植物にとって使いにくい成分。
カロリーをたくさん持つのでカビがたくさん生えるので、デンプンが多いまま土壌に施肥すると窒素飢餓が起こる。
デンプンは糖(ブドウ糖)が直鎖でつながった多糖のことで、イメージとしては、
こんな感じ。
でだ、土壌のコウジカビ等の土着菌によって、
加水分解という手段でデンプンからブドウ糖を切り出す。
デンプンの分解の際に水を加えて分解するので、ここで水を必要とする。
この反応は好気、嫌気関係ない。
続いて、切り取ったブドウ糖だが、
好気にすると水と二酸化炭素になり(下)、嫌気にすると様々な有機酸で反応が終わる(上)。
ボカシ肥は肥料であってほしいので、水と二酸化炭素になってしまったら本末転倒だ。
好気発酵で微生物が活発になったから良いだろうという意見もあるかもしれないが、
ボカシ肥の本質はあくまで窒素飢餓を起こさないことであって、デンプンから有機酸の形になったことでその条件は十分満たす。
それを抜きにしても、有機酸の形で残っていた方が何かと有り難い。
ほかにタンパクを見ていきたいが、一旦ここで話を終わりにする。
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