注目の資材、ゼオライトについて再びの続きまでの記事の後、下記のような話題になった。

粘土鉱物を肥料として活用する目的は腐植の蓄積が主だけれども、結局のところどうやって粘土鉱物はどうやって腐植と繋がっているの?


枝は腐植になるか?の記事で、


(農文協 作物はなぜ有機物・難溶解性成分を吸収できるのか 198ページの図を参考にして作成)


モデルではあるけれども、土壌表面にあるアルミニウム(Al)と有機物同士の結合の図を紹介した。

これは見ての通り、粘土鉱物とポリフェノールのような有機物間での電気的な結合、つまりはイオン結合によって繋がっている。


ここで一つ疑問が生じる。


陰イオン交換容量AEC


土壌粒子の表面からアルミニウムが出て、それが正の電荷を持つのは破壊原子価による変異電荷であるが、変異電荷には下記のような説明がある。

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変異電荷は多少ともすべての粘土鉱物に存在するが、2:1型鉱物ではその役割は小さい。しかし、1:1型鉱物、アロフェン、イモゴライトなど、電荷が粒子破断面や低結晶性粒子の表面の水酸基に生ずる粘土鉱物では、主要な表面電荷(負あるいは正)の発生源となる

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※朝倉書店 白水晴雄著 粘土鉱物学 -粘土科学の基礎- 新装版 38ページを参考にして記載


この説明によると、


緑泥石という名の粘土鉱物


1:1型粘土鉱物(左)では、下のAl八面体によって正の電荷が現れるけれども、2:1型粘土鉱物ではAl八面体が表面に現れる箇所が少ないので、正の電荷を帯びにくく、層間水のところの陽イオン交換の箇所の負の電荷が主となる。


だとすると、

上に掲載した土の有機物の蓄積モデルでは、2:1型粘土鉱物を投入しても有機物の蓄積の観点から見たら意味が無いことになる。

これは主観になってしまうけれども、実際には水田で自然に堆積した粘土鉱物に頼ることよりも、2:1型粘土鉱物を投入した方がはやくフカフカな土になっている。


ここから土壌表面に現れたAl由来の正の電荷以外の結合によっても腐植が蓄積する機構があるはずだ。

そうでないと、



Nao1958 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる


中心のSi4+がAl3+に置換することによって、全体的に負の電荷を帯び、この負の電荷によってイオン交換性が生じるゼオライトを入れることで得られた土壌改良の結果が説明出来ないことになる。




ここの2つ程ヒントになりそうな知見に触れておく。

朝倉書店の粘土鉱物学 -粘土科学の基礎- 新装版の44ページから始まる粘土有機複合体の節にカオリン鉱物と酢酸カリウム(CH3COOK)またはスメクタイトとアルキルアンモニウム[CH3(CH2)nNH3+]との複合体の話題があった。



1つ目のカオリン鉱物と酢酸カリウムはカオリン鉱物の層間に上記のように入り込む。

上の水との接触部分は上の層のOH基との結合に依るものなので水素結合となる。

タンパクの三次構造の際の結合:水素結合1


この結合は粘土鉱物と極性低分子有機化合物との結合になるので、腐植のようなサイズの大きいものだとこの結合は出来ないはず。



2つ目のスメクタイトとアルキルアンモニウム[CH3(CH2)nNH3+]との複合体は有機化合物側のアミノ基(-NH2)の方の正の電荷によって粘土鉱物と結合していることになる。

この結合であれば、腐植の方に正の電荷があれば良い事になる。


この2つの粘土有機複合体の例を見て、ある肥料のこととある現象が頭に浮かんだ。

その肥料と現象については次回以降の記事で記載することにしよう。


-続く-