前回、今年は粘土鉱物を理解するために、様々な場所に行ってみたという内容を記載した。
まるでRPGゲームの主人公みたいな感覚で、行く先々(特にジオパーク)で次に行くべき情報(博物館が発行する書籍)が記載されていて、知識という武器を得ながら次の場所へ向かうという事を繰り返し、アカデミックで地質学を一切触れてこなかった生物野郎が、なんとか各地の地質から情報を得られるようになった(はず)。
何故そんなにも粘土鉱物を理解したかったか?というと、粘土鉱物は栽培(農学)において土壌の腐植蓄積モデルの重要な要因であり、粘土鉱物を理解すれば、栽培者の様々な疑問に答えることができるようになると当たりをつけていたからで、実際のところ、
・水田転作地の粘土質土壌に粘土鉱物を入れると悪影響になるのではないか?
・粘土鉱物系の肥料はゼオライトとベントナイト(とバーミキュライト)が有名だけど、どれを入れたら費用対効果が良いのか?
といった質問に答えることができた。
※前者の質問は実際には悪影響どころか、良い結果をもたらす。
これは凄腕の栽培者であれば、理解できることがどれだけすごいことか!
栽培に関する経費削減効果が半端ないことは安易にイメージできるはず。
で話は戻って、各所の博物館で購入した資料に目を通すと、地震、火山(温泉)が周辺の地域の土質に大きな影響を与えていることがなんとなくわかった。
地震で断層が形成されたところで岩は粉砕され、岩から粘土鉱物が形成される。
酸や熱水による変性で珪酸塩鉱物が粘土鉱物に変わる。
※粘土鉱物も珪酸塩鉱物
もう少し細かく見ると、長石というアルミノ珪酸塩が何らかの作用で粘土鉱物へと変質する。
この長石をイメージしやすくなるような本はないか?と探していたところ、
化学同人のネイチャーガイド・シリーズ 手のひらに広がる岩石・鉱物の世界 岩石と鉱物という本と出会う。
長石といっても化学組成や組み合わせによってたくさんの種類があり、
※図:上記で紹介した本を参考にして作成
上記の本では長石をキャプチャのようにまとめている。
以前、
株式会社ナカニシヤ出版の温泉と地球科学という本で、
高アルカリ性の温泉は灰長石→モンモリロナイト→濁沸石(→1:1型粘土鉱物)という変質の際に温泉のpHを高めるのでは?と記載されており、考察に上記のような理屈が出るということは、実際の現象としては証明されているでは?と記載した。
※カッコ内の反応は別の書籍から
灰長石というのは、上の長石の図では右下にある矢印の終点。
この本で矢印のことは特に触れていないので、実際何を意味しているか?は明確ではないけれども、どの長石も変質の際に灰長石を経由するということであれば、アルミノ珪酸塩の二次鉱物が栽培にとって良質な粘土鉱物であることになる。
以前、黒ボク土の話で黒ボク土には大きく分けて、アロフェンと非アロフェンの2つがあると記載した。
アロフェンは火山灰に含まれる火山ガラスの二次鉱物で、火山ガラスは曹長石(ナトリウムを含む長石)であった。
非アロフェンは2:1型粘土鉱物になるので、灰長石から変質した二次鉱物になるわけで、
どちらも
似たようなものがどのように変質するかによって特徴が変わる。
ということになるだろうか?
となると次に重要になってくるのがアルミノ珪酸塩がどこに多く分布しているか?ということで、火成岩の話へと続いていく。
- 続く -