巣箱から蜜を抽出する手順を考慮すると、ハチミツの味に花粉が影響を与えている可能性が十分に有り得る。
前回のミツバチは巣に花粉を持ち帰るの記事で、植物の種類毎に花粉粒の量に違いがあることがわかった。
となると気になるのが、人の手が加わる(肥料等)ことで花粉の質や量が変わることがあるのか?ということだろう。
とその前に触れておかなければならないこととして、
複雑な形状をしているマメ科の植物の花についてを見てみる。
すべてのマメ科に言えるわけではなさそうだけれども、マメ科の複雑な形の花はミツバチ等に最適化されている。
ミツバチはどうやらその日のはじめに決めた花と似たような花に寄り付くという特徴があるらしく、上の写真のようにレンゲの花の蜜を吸ったら、その次もレンゲの花に向かう可能性が高い。
ということは少ない花粉でも受粉できる可能性が高くなるわけで、花毎の花粉の量は少なくても済むことになる。
花によって花粉の量が違うのは進化の過程での効率化と言える。
それを踏まえた上で、マメ科ではないけれども興味深い研究報告があったので紹介する。
有機質肥料施用による水稲の葯長と充実花粉数の拡大効果 - 日本土壌肥料学雑誌 第79巻 第2号 (2008)
古い論文なので、現在では更に進んでいると思うので概要だけ。
水稲において幼穂形成前に遅効性の有機質肥料を与えると、速効性の化学肥料よりも花粉量等が多くなる。速効性の窒素肥料であれば量が多くなる程負の影響を与えるけれども、遅効性であれば量が多くてもあまり影響を与えない。
影響は窒素の効きの速さによるものなのか、有機質肥料に何らかの正の影響を与えるものがあるのか?はわからない
※無施肥区では籾数は少ないが充実花粉数が多い。肥料の量によって籾は増える
強引な話の展開にはなるけれども、
仮に蜜源植物でも肥料が花の数と花粉の量に影響を与えるとするならば、
※ここでは充実花粉数ではなく、花の数 × 花粉の量で見る
例えば耕作放棄地を蜜源にするためにレンゲ(緑肥)のタネを撒いたとして、
播種前に肥料をまかなければ、充実花粉数は増えるが花の数は少ない。
肥料を与えることによって花の数は増えるが、肥料の質によって花粉の質が異なる。
ハチミツの質が花粉の質も影響を与えるとするならば、耕作放棄地を蜜源にする時に施肥に意識を向ける必要があると言える。
ハチミツの質を調べる上で意識する必要がありそうな箇所の情報が集まってきた感がある。
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